がん治療とお口のトラブルには密接な関係があります。口腔ケアと全身の健康に関する研究を続けてきたサンスターは、がん治療における口腔ケアの重要性に着目し、医療関係者や患者さんの意見をくみあげた、口腔ケアの研究開発や情報発信に取り組んでいます。 がんとたたかう方のお役に少しでも立てるよう、お口の悩みを軽減するための口腔ケア関連の情報を提供しております。
これからお口・首領域に放射線治療を受ける方、現在治療中の方も、治療による副作用が気になる方は多いと思います。副作用の中には、毎日のセルフケアや事前の準備でそのリスクを減らすことができるものもあります。 お口・首領域の放射線治療による代表的な副作用に口腔粘膜炎(口内炎)があげられますが、今回は、お口・首領域に放射線治療を受けた後しばらく継続する可能性のある代表的な副作用と、その予防方法についてご説明いたします。(口腔粘膜炎について詳しくはこちら>> )
お口・首領域の放射線治療後は、しばらく味覚障害、口腔乾燥などの副作用が続きます。症状の出かたは放射線が当たる範囲(照射範囲)、放射線量によってさまざまです。また、治療後数ヶ月~数年に現れる晩期障害として、放射線性顎骨壊死(がっこつえし)、放射線性骨髄炎、開口障害、放射線性う蝕(う蝕=むし歯)などがあります。
味覚障害:
放射線治療開始から早々に現れます。治療後しばらくしてゆっくりと味覚は回復をしてきますが、中には一部の味だけが強く感じる方や、味を感じにくくなり濃い味付けを好むようになるなど味の嗜好が変わる方もいらっしゃいます。もちろん糖度が高いものは、歯にとってはむし歯のリスクを高めます。(味覚障害について詳しくはこちら>> )
口腔乾燥:
放射線治療の副作用で唾液分泌が抑制され、お口がネバネバした感じや乾いた感じが続きます。唾液の分泌が減ることでお口の中をきれいに洗い流そうとする自浄作用が低下するため、歯に付着したプラーク(歯垢)が強固な汚れになりやすく、むし歯や歯周炎のリスクを高めます。(口腔乾燥について詳しくはこちら >>)
放射線性骨髄炎・放射線顎骨壊死(がっこつえし):
顎の骨に細菌感染を起こすことにより、骨髄に炎症が生じるのが骨髄炎です。さらに、顎の骨の組織が局所的に死滅し、骨が腐った状態になることを顎骨壊死といいます。原因は、放射線治療後の抜歯や、放置していた歯周病やむし歯などといわれています。
そのため、放射線が当たっている顎骨内の歯は、抜歯することにならないよう予防しましょう。放射線が当たっている領域や線量によって顎骨壊死のリスクが変わってきます。どこの部位にどれだけの線量が当たっているか確認したい場合は、がんの治療を受けた主治医にご相談するのがよいでしょう。
以上のように放射線治療後のお口は、味覚障害による偏った食事や、口腔乾燥による口内細菌の繁殖がむし歯や歯周病の進行、顎骨への感染などが起こる高リスクな環境となるため、放射線治療が終了した後も日常のセルフケアは重要となります。
日々のセルフケアは丁寧に行いましょう。むし歯の進行予防には、フッ化物が有効であるといわれています。歯磨剤にはその成分が含まれているものが多く、刺激を感じなければ積極的な利用をおすすめします。
そして次に重要なことは、かかりつけ歯科を持ち定期健診(年に2~3回)を受けることです。むし歯や歯周病が進んで抜歯という治療にならないように、定期健診でお口の状態をチェックし、早めの治療を受けましょう。
かかりつけ歯科医師には、放射線治療を受けていること伝えましょう。顎の骨に照射範囲が含まれている場合は、抜歯及び歯科インプラント治療は行わないことを強くすすめています。
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