毎年やってくるインフルエンザの流行。風邪とは違うその症状で苦しんだ経験がある人も少なくないでしょう。十分な予防対策をとることで防げる場合もありますが、いくら予防していても、特に子どもの感染は防ぎきれないときも…。予防方法はもちろんですが、自分や家族がインフルエンザに感染してしまったときに備えて、対処方法を知っておくことも重要です。特に今年は、子どもに対する治療薬の使用に関して変更があったことをご存知でしょうか。
インフルエンザに対するお薬として、お医者さんで処方される治療薬(抗インフルエンザウイルス薬)にはいくつかの種類があります。
ただし、その効果はインフルエンザの症状が出始めてからの時間や病状によって異なります。効果を十分に発揮させるためには、抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始する必要があります。症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。
適切な治療を受けるためには早めの受診を心がけ、症状が出てからの状態を正確にお医者さんに伝えましょう。
「子どもがインフルエンザにかかったかもしれない…」その時は、普段よりもしっかりと行動を見守ることが必要です。小児・未成年者ではインフルエンザに罹患すると、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回る等の異常行動を起こすおそれがあります。これらの異常行動は転落などの事故に繋がる可能性も…。自宅で療養する場合は、インフルエンザと診断された後少なくとも2日間は、小児・未成年者が一人にならないなどの配慮が必要です。
上記のような異常行動はかつて、抗インフルエンザウイルス薬(タミフル)の服薬の影響による可能性があると考えられた時期があり、子どもへの使用は控えられてきました。
しかし、その後の研究では抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や種類にかかわらず、異常行動が報告されています。この「抗インフルエンザウイルス薬の服用と異常行動の因果関係は不明」という事実から、2018年5月、厚生労働省の専門家会議が、これまでの「抗インフルエンザウイルス薬『タミフル』について、10代患者の使用を原則として差し控えること」という方針を改め、「10代患者に対する使用差し控えを解除する。」という方針を示しました。つまり今シーズンから、19歳以下であっても、医師が治療として適切と判断した患者さんにはタミフルを処方できるようになりました。
薬が異常行動の原因ではないと分かったものの、子どものインフルエンザ患者の異常行動の報告は続いており、薬の服用の有無にかかわらず、できるだけ目を離さないことが必要です。お医者さんから子どもに抗インフルエンザウイルス薬を処方された場合は、症状や薬に関する不安などがあれば十分に相談し、注意事項をよく聞いて看病にあたりましょう。
一般的に、インフルエンザ発症前日から発症後3~7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれています。そのため、短期間で症状が軽減したとしても、しばらくは外出を控えたり、咳やくしゃみ等の症状が続いている場合には、マスクを着用する等、周りの方へうつさないよう配慮しましょう。幼稚園や学校の出席停止期間は、「発症後5日間、かつ解熱後2日間(幼児は3日間)」と決められています。同様に、看病をする人も、数日は感染への注意が必要です。
インフルエンザにかかる前の予防と、かかってしまった後の対策。どちらもしっかりと理解して冬を乗り切りましょう!
(参考:厚生労働省)