新しい生活様式の中、自宅で気軽にできる筋トレが注目されています。でも星子さんのようにがんばりすぎてしまうタイプは、かえって効果のないやり方をしてしまっていたり、時にはケガなどの危険性も…。そこで、無理しない、楽しくできる方法を専門家に教えていただきました。
今回の相談相手
- 森俊憲(もり としのり)
- ボディデザイナー。これまでに1万人以上への体型管理カウンセリングやパーソナルトレーニング指導を行う。オンライン支援サービスのほか、企業向けの健康指導や講演、また各種メディアの監修・モデルなど幅広く活動中。
すぐにトレーナーの真似はできなくてOK
自宅での筋トレをはじめて3ヶ月。でもなんだか効果が出ていないようにも思いますし、むしろカラダの節々が痛くなってきました。
星子さんは、どのようなきっかけで筋トレをはじめたんですか?
テレワークが続いているのと、買い物や外出の回数を減らしていることもあって出歩かなくなってしまったことで、ちょっとカラダが重いという感覚があったからです。まず筋肉をつけることで太らないカラダを作ることが大切だなと思ったのがきっかけです。
素晴らしい動機ですね。お手本はどうしていますか?
動画サイトを見ています。効果を出すために、できるだけトレーナーさんの動きに忠実にできるようがんばっています!
なるほど。星子さんは、そのお手本通りにがんばろうとすることで無理をしすぎていて、かえって効果が出ていないのかもしれませんね。実はこれ、よしやろう!と思ってはじめた時によくある落とし穴なんです。
お手本通りにすれば効果が出るのではないのですか!?
もちろんそうなのですが、初心者の方が最初から全く同じ動きをするのはそもそも無理があります。トレーナーは上級者で、運動慣れしています。簡単な動作に見えますが、実はかなり負荷が高いことをしていることが少なくありません。ですから、これから運動に取り組もうという方が同じようにがんばってしまうと、かえって危ないこともあります。
例えばこんな症状がある時は、無理をし過ぎていたり、適切なトレーニングができていない可能性があります。
すべて当てはまっている気がします。
もしキツいなと感じていたとしても、ちゃんとやれていないわけですから、実は狙った筋肉に効いていない。さらに、無理をしてぎっくり腰や肉離れ、手をついた時に手首を痛めるといったケガの心配もあります。
そういえば、バランスを崩して倒れそうになったこともあります。
せっかく健康のためにはじめたのに、こういうことが原因でやめてはもったいない!トレーニング初心者の方が自宅で筋トレをはじめる際のコツを、お教えしますね。
お願いします!
無理せず焦らず少しずつ、がポイント
まずはトレーナーと同じようにはできなくても大丈夫と理解して、浅めの角度、無理のない範囲、回数で行うことを心がけましょう。
10回×3セットと指定されていても、できない時はできないという割り切りがあってもいいんですね。
はい。回数は次第にできるようになってくるので大丈夫です。
できない、というのも自分の現状を知るにはよいことだと思うことにします。
次に、どの筋肉に効かせているのかを意識しましょう。例えばプッシュアップ(腕立て伏せ)。みなさん腕の筋肉を鍛えているように思っているかもしれませんが、実はこれは胸の筋肉・大胸筋のためのトレーニングなんです。
腕じゃないんですか!
はい。ですから大胸筋に効かせるように意識してください。あごや腰だけを上げ下げして回数を稼いでも意味がないんです。回数はできなくても、腕が上下しきれなくても、大胸筋に負荷を感じれば、まずは十分です。腹筋やストレッチも同じです。
まずはそのメニューが何を狙っているのかをとらえて、効いているかどうかを確認。そして少しずつ慣れていけばいいんですね。
そうです。最初から無理はせず、少しずつ強化していくことが大切。私が主催しているオンライントレーニングでも「もっとペースを上げたいんです!」という方がいて、モチベーションが高いように見えるんですが、冷めるのも早いんですよ。
私、そっちかも…。
短期集中で効果を上げよう、というのではなく、無理なく楽しい気持ちで1%ずつ増やしていく。結果的にはそれが正しいやり方です。10回の腹筋が11回になったとしたらこれでもう10%アップですから。
焦らないことが大切なんですね!
はい。それから自宅トレーニングは夫婦や家族で一緒に行うのもいいですよ。お互いにフォームや角度、効いている場所を確認しながらできますから。
まずはこの2メニューを楽しく、確実にやってみましょう!
教えていただいたことを意識しながらできる初心者向けのメニューはありますか?
今回はふたつご紹介しましょう。求めるレベルと今できるレベルを考えて無理なく試してみてください。共通しているのは、反動や勢いをつけずにゆっくり効いているところを確かめながら行うこと。楽しく、無理せずに!
トレーニング1 アブアイソメトリックス
このポーズをとるだけで、腹筋全体が効果的に刺激できると同時に、背中や腰部分のコアマッスルまで鍛えられます。
【やり方】
四つん這いの状態から、床に両肘をついた後、両膝を伸ばして、頭からかかとまで一直線に。そのポーズのまま、30秒間静止。呼吸は自然に続けます。
30秒間静止が辛い場合は、できる範囲でかまいません。このポーズそのものが取りづらい場合は、両膝を床につけて行ってもOKですよ。
トレーニング2 チェアースクワット
正しいフォームでのスクワット運動が実践できる自重トレーニングの基本。脚の付け根である太ももとヒップの間をしっかりと刺激でき、さらに屈伸動作時のバランスを意識することで、自然と体幹も鍛えられます。デスクワークの合間にも!
【やり方】
肩幅に脚を開き、背すじを伸ばした状態で胸の前で肩の高さに腕を伸ばします。上体を少し前に傾け、自分の後ろにある椅子に腰かけるイメージでお尻を突き出しゆっくり屈伸。10回繰り返します。
膝を曲げる時も背すじは伸ばしたままで。お尻が座面につくスレスレの位置までしっかりと膝を曲げましょう。まずは10回にはこだわらずに!
第1回:朝の洗顔は冷水でスッキリ!これって〇?×?
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