新米がおいしい季節ですね。旬の食材は米だけにとどまらず、脂がたっぷり乗った秋刀魚、葡萄や柿などの濃密な果物、おいしい香りを放つきのこ類…。そうです、今年も「食欲の秋」が到来しています!
しかしながら歳を重ねていくと気になるのが、「食べ過ぎ」によって後から芽生える罪悪感。この感情はブレーキとでもいいましょうか、健康を脅かしてしまうことへの理性的なサインにもなりますが、願わくばこういった罪悪感とは無縁でいたいところですよね。
そこで今回は、旬の食材(※)を使った「秋のごちそう炊き込みごはん」を、無理なくヘルシーに作ろうというご提案。そしてもうひとつ、私が料理を考える上でもっとも大切にしたいことを添えたいと思います。それは、「健やかな食卓作りは、いつも自分ひとりだけで作ろうとしなくて良いということ」。
大切な家族や友人、愛するパートナー、信頼を寄せる相手と一緒に、ヒトとのつながりを感じながら楽しく考えていくことこそが、食べる喜びを何倍にも満たしてくれると、私は信じています。ひとり暮らしの方でしたら、おいしいものを贈りあったり、お料理のレシピを共有してそれぞれ作ったり、離れた人と食卓作りを共有するのはいかがでしょうか。
今回は我が息子(6歳)と共に、楽しい分担をしながらご案内してみたいと思います!
※秋に旬を迎える食材例
さつまいも、里芋、ごぼう、れんこん、栗、きのこ類、秋刀魚、りんご、梨、いちじく、葡萄、柿、ざくろ、秋刀魚、鰹、メバチマグロ、秋鮭(白鮭)
スギアカツキ
食文化研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学・栄養学・発酵学・微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究をはじめる。現在は「食文化研究家」として、TV・ラジオ・雑誌・ウェブなどの多方面で活躍中。
秋の味覚を堪能する上で外せないのが、「新米」。しかしながら、食べ過ぎると太ってしまうのではないかと気にされる方もいらっしゃるでしょう。お米=糖質をむやみに否定することなく、おいしくヘルシーな料理に変身させていきましょう。まずはお米料理を太りにくくするための3つの工夫ポイントをお届けします。
①「根菜類」と一緒に炊く
お米の食べ過ぎを防ぐために、旬の根菜類とあわせてみましょう。おすすめは、さつまいも。単品で考えると気をつけるべき食材として挙げられることがありますが、白米よりもカロリー値やGI値が低く、食物繊維やビタミン類が豊富ですから、一緒に炊き込むことでヘルシーな炊き込みご飯になることは間違いありません。
②「きのこ類」とあわせる
きのこ類は低カロリーでありながら食物繊維が豊富に含まれています。この食物繊維は、肥満リスクにつながる血糖値の急上昇を緩やかにしてくれるはたらきがあります。また、豊富に含まれる旨味成分によって料理全体の減塩効果にもつながります。
③適度に「油」をまとわせる
「油で炒めたチャーハンがダイエットに良い」といわれることがありますが、適量さえ心得れば真実といえます。油脂類は血糖値の急上昇を穏やかにしてくれるはたらきがありますから、お米に少々まとわせることで、ダイエット向きのごはん料理にすることが可能。ポイントは「ほんの少々」という点ですから、今回の味付けの主役としてヘルシーマヨネーズ(※)を使ってみましょう。
※カロリーや脂質を大幅にカットしたマヨネーズのこと。50%、80%オフなどさまざまな商品があるので、お好みのものを選んでみてください。
さあ、それでは料理スタートです。小さな子どもや料理初心者さんにも任せられる工程をご紹介しながら進めていきましょう。
▼材料(お米3合分)
白米 3合
さつまいも 小2本(200g~250g)
きのこ(※) 3種類 各1パック程度
人参 1/4本
かぼちゃ 1/16程度
塩 小さじ1/2
オリーブオイル 大さじ1
オイスターソース 大さじ2
ヘルシーマヨネーズ 大さじ1
※エリンギ、しめじ、えのき、しいたけ、舞茸、きくらげなど。100グラム程度の小パックサイズをお好みで3種組み合わせる。
できあがった炊き込みご飯は冷凍保存可能。1ヶ月以内がおいしく食べられる目安です。
▼作り方
①お米を研ぎ、規定量の水を入れて30分程度浸水させる。さつまいもは小口サイズに切って水にさらす。塩を加えた後にさつまいもを上に乗せて、通常の炊飯コースで炊く。
②きのこを手でほぐす。炒めるので、やや小さめを意識する。
③人参とかぼちゃを薄切りにして、型抜きで秋らしいモチーフを作る。もみじ、イチョウ、菊などがオススメ。
④オリーブオイルをひいたフライパンを火にかけ、きのこを炒める。火加減は中火~強火。しんなりしてきたらオイスターソースとマヨネーズを加えて強火で香ばしく炒める。
⑤ごはんが炊きあがったら、型抜きした人参とかぼちゃを炊飯器に入れて、3~5分程度置く。その後フタを開けて、人参とかぼちゃを飾り用に取り除いておく。
⑥炊きあがったさつまいもごはんときのこ炒めを大きな器の中で混ぜあわせる。小さめのしゃもじやスプーンなど、使いやすいもので楽しみながら和える。
⑦飾り用の人参とかぼちゃを散らして完成。
さあ、一緒に作った人が見せる満足気な笑顔もセットに、食卓の主役としてご堪能くださいね♪ この炊き込み混ぜごはんは冷めてもおいしいので、おにぎりにするのもおすすめです。
文・写真 スギアカツキ
撮影(スギさん) 石原敦志
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