晩秋は赤ワインがおいしく感じられる季節。そのうえ、オンライン女子会、海外ドラマの一気見など、夜長に赤ワインを長時間楽しむ機会も多そうです。
でも赤ワインを楽しんだ後、歯の変色が気になる…という悩みを抱える人も。そこで、歯科医であり、ワインの魅力を伝える女性アンバサダー「winemuse」のメンバーでもある向井知理先生に赤ワインと歯の関係、そして自らも実践しているケアを聞いてみました。
プロフィール
赤ワインを飲むと歯が変色する…その原因は、ステイン。ステインとは、赤ワインに多く含まれるポリフェノールの色素が歯についた着色汚れのこと。ポリフェノールを多く含むコーヒーやチョコレートでも同様の現象が起こるといいます。
そもそもなぜ歯にステインがついてしまうのでしょうか。
「歯の周りには目に見えないペリクルという膜があって、歯を守る一方、色素を吸着してしまうという性質があります。ですから、日々歯みがきをしていても、少しずつステインがついてしまいます。」
食べ物に含まれるポリフェノールがペリクルと結合することでステインに。徐々に蓄積され、やがて目に見えるようになっていきます。
また、加齢により唾液量が減り、口腔内が乾燥することも着色しやすくなる原因のひとつです。
赤ワインを飲む習慣のある人やポリフェノールの多い食べ物を好む人は、ステイン防止のためにできるだけ普段からのケアを心がけたいもの。向井先生によれば、日々の簡単な習慣でもステインをつきにくくすることができるようです。
「歯の表面の乾燥もステインがつきやすい原因なので、色の濃い飲み物や食べ物を口にする前後にお水を飲むのは効果的です」
赤ワインの前後には水を飲むことを習慣に。
また、ステイン対策にはまず歯の表面をツルツルにしておくこと!と向井先生。
「セルフケアのために、歯を白くする効果のある美白ハミガキを使うのもいいですね」
こうした日々の習慣に加え、歯科医院でのメンテナンスもおすすめ。むし歯や歯周病予防のための定期的な通院とあわせてステイン対策を取り入れるといいでしょう。
かなり着色してしまうとホワイトニング治療でステインを取り除くことになりますが、自費治療であること、むし歯や歯周病があると処置できないこともあるなど、ハードルは高そうなので、やはり日々の対策が大切です。
実は、向井先生自身もステインに悩んでいたひとり。
「私自身、お恥ずかしながら前歯が少しガタガタしている部分があって、少し飲んだだけで、その最中に前歯に着色した経験があります。鏡で見てびっくりしました。自分では見えないので、とても恥ずかしいですよね…」
こうした体験もあって、歯のプロとして、ステインケアをしながらみなさんにワインを楽しんでもらいたいというのが向井先生の願いでもあります。
毎日のステインケアを習慣にすれば、赤ワインも怖くない!
「秋の夜長、好きなワインが一緒だと楽しさも倍増しますよね。ステインは普段のケアで対策できますし、着色は早めに対応すれば取ることができます。もし、気になりはじめたら歯科医院に気軽に相談してください」
取材・記事 岩瀬大二