コラム
2021/03/05

「知覚過敏」の勘違い。専門家に聞きました

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よく耳にする「知覚過敏」という言葉。どういう症状か知っているつもりでも、誤解していることが多いかもしれません。「わかっているつもり」で放っておくと、危険なこともあるのだとか。勘違いしがちなポイントについて、一問一答形式で歯科衛生士に聞きました。

監修者プロフィール

 
橋本桃子(はしもと ももこ)
サンスター財団歯科衛生士。千里歯科診療所に所属し、診療補助、保健指導や予防処置を行っている。お口の健康の大切さを知ってもらえるよう、日々患者さんに寄り添って指導や処置を行っている。

そのままにしないで!よくある勘違い

 

Q 歯みがきをすると痛い!これはむし歯?

A むし歯ではなくそれは「知覚過敏」かもしれません

「歯みがきしていたら痛むのでむし歯だと思ったけれど、歯科医院に行ったら知覚過敏だった」という人は多いです。自分で見分けるのは難しいかもしれません。

知覚過敏とは、むし歯ではないのに、冷たいものや熱いもの、甘いものやすっぱいものがしみる症状です。そのほかに、ハブラシの毛先がしみる場合もあります。

知覚過敏は、加齢や歯周病によって歯ぐきが下がってきたり、エナメル質が摩耗することで象牙質が露出してしまい、冷たいものなどの刺激が痛みのように感じることです。そのため、象牙質が露出している場所にハブラシが当たると、冷たいものでなくても痛みを感じることがあります。

知覚過敏の症状やしみる仕組み、ケアの方法などはこちらの記事も参考にしてください。


丸で囲んだ部分が象牙質が露出している部分。

 

Q 知覚過敏がひどくなるとむし歯になる?

A 必ずしもそうではないですが注意は必要です

知覚過敏とむし歯は別ものです。知覚過敏の症状が強いからといってむし歯になるわけではありません。

ただし、知覚過敏は象牙質が露出している状態で、象牙質は特にむし歯になりやすいのです。通常の歯よりもより一層のむし歯予防が必要だと考えておいたほうがいいでしょう。

 

Q 子どもも知覚過敏になるの?

A そのケースはほとんどありません

小さなお子さんが知覚過敏になるというケースはほとんどありません。お子さんが「甘いものや冷たいものが痛い」という場合は、違う原因を疑ったほうがいいかもしれません。まずは歯科医院で診てもらいましょう。

 

Q 歯の痛みが治ったから、むし歯じゃなくて知覚過敏?

A 歯の痛みが治ってもむし歯の可能性があります

軽度な知覚過敏なら、違和感や痛みが生じた後に症状が見られなくなることがあります。また、例えば冷たいものなら、瞬間的にしみて、その後に徐々に和らいでいきます。とはいえ、ずっと痛いものではないからといって、「痛みが消えたから知覚過敏だ」と考えるのは早計です。

初期のむし歯は、少し痛みを感じても、じきに痛みが消える場合があります。痛みがなくなった場合も、むし歯の可能性はあります。

気を付けたい!危険な勘違い

むし歯ではなく知覚過敏だからといって、放っておくと症状が重くなることもあります。次のような勘違い、していませんか?

Q むし歯でなく知覚過敏なら深刻にならなくてもいい?

A 知覚過敏の原因に対処する必要があります

知覚過敏そのものより、知覚過敏になった原因に対応する必要があります。原因によっては、しっかりと治療をすべきです。

歯周病により歯肉が下がり知覚過敏になったのであれば、歯周病の治療が必要。歯周病を放っておくと、歯を失う原因にもなります。

歯ぐきが下がって象牙質が現れてしまった場合、歯周病以外にも加齢や強すぎるブラッシングが原因の場合があります。強すぎるブラッシングの場合には、ブラッシングの仕方を改善する必要があります。

歯ぎしりなどによってエナメル質が消失した場合には、それ以上進行させないようにしましょう。寝ている間に歯を守るナイトガード(睡眠時用のマウスピース)などが有効です。

衝撃により歯が欠けたり、割れたりしたことが原因なら、欠けた歯や割れた歯の治療をする必要があります。

 

Q 知覚過敏は勝手に治る?

A 原因によっては放っておくと危険です

軽度の知覚過敏であれば、時間とともに症状が治まることはあります。

ただし、ひとつ前の説明にもある通り、原因によっては放っておくと悪化してさらに象牙質が露出することも。その場合は、重症化する可能性があります。

知覚過敏だからといって、放っておくのは危険です。

 

Q 知覚過敏はむし歯じゃないから治療できない?

A 知覚過敏も治療できます

知覚過敏だから治療できないというのは勘違いです。

知覚過敏は象牙質が露出していることが原因で生じていますので、露出した象牙質を覆う薬剤を塗布する方法が一般的です。また歯ぎしりなどでエナメル質が消失したり歯が欠けている場合はその部分に詰め物を入れる方法もあります。

 

Q 症状が治まればその後のケアは不要?

A 症状が治まってもケアは必要です

原因によって対応が変わるので、症状が治まってもケアは必要です。むし歯になりやすいので丁寧なむし歯予防をしたり、ブラッシング圧に気を付けたりしましょう。また、歯みがきをする際には知覚過敏用のハミガキがあるので、活用するのもよいでしょう。

知覚過敏の思い込みや勘違いは、思わぬ症状に発展する可能性もあります。勝手に判断して放っておくのではなく、違和感を覚えるなら、歯科医院で診てもらってくださいね。むし歯なのか、知覚過敏かをはっきりさせると同時に、知覚過敏だとしたらその原因も知っておくことが大切です。

取材・記事 栃尾江美

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