
今回は「食物繊維の効果」について、こんな記事をご紹介いたします。
インフルエンザの流行が続いていますね。インフルエンザ予防には様々な方法がありますが、みなさんはどんな方法で対策をされていますか?
実は最近の研究により、「食物繊維」が糖尿病やインフルエンザ予防にも効果があることが分かりました。以前から「食物繊維」を摂ることのメリットをお伝えしてきましたが、インフルエンザにも効果があるというのは驚きですよね。詳しく見ていきましょう。
食物繊維の多い野菜や全粒穀物を多く食べている人は、2型糖尿病や心臓病、脳卒中がんなどの慢性疾患の発症リスクが低下することが、研究で明らかになりました。
研究では、食事で食物繊維を十分に摂る人は、全く摂らない人と比べると、平均して次のようなリスクの低下がみられました。
・脳卒中のリスク→→22%減少
・2型糖尿病と大腸がんのリスクはそれぞれ→→16%減少
・冠状動脈性心疾患による死亡のリスク→→30%減少
この結果に対して、オタゴ大学のエドガー糖尿病・肥満研究センターのアンドリュー レイノルズ氏は「研究では、1日に25〜29gの食物繊維を摂取すると効果的であることが示されました。しかし、ほとんど人は1日に20g未満しか摂っておらず、食物繊維が不足しています」と話しています。
全粒穀物から摂る食物繊維を1日に15g増やすことで、2型糖尿病・冠状動脈性心疾患・大腸がんの発症リスクを2~19%低下できる可能性があるそうです。食物繊維が健康に与える影響は、考えられていた以上に大きいようですね。
食物繊維は次のような食品に多く含まれています。
・穀類、いも類
・野菜、果物
・きのこ
・大豆製品、豆類
・海藻類
食物繊維には「不溶性」と「水溶性」があり、水溶性食物繊維には、糖質の吸収をゆるやかにして血糖値の上昇を防ぎ、脂質の吸収を抑えコレステロールを下げ、ナトリウムを吸着して排出するなど、多くの体に良い作用があります。
また、食物繊維が多いと良く噛むようになるので、満腹感が得られやすくなり、食べ過ぎを防いで肥満予防や体重管理につながります。
野菜や果物には食物繊維が豊富に含まれていますが、毎日の食事で食物繊維を意識するのは大変ですよね。ですので、毎日の主食、つまり穀物から食物繊維を摂るのが効果的です。
おすすめは大麦入りの麦ご飯や、精製度の低い玄米・胚芽米など。全粒粉のパンにも食物繊維が多く含まれています。
食物繊維が豊富な食事を摂っていると、腸の炎症が軽減し、インフルエンザウイルスから保護する作用を得られるという研究も発表されています。
オーストラリアのモナッシュ大学の研究チームはマウスによる実験から、食物繊維がウイルス性疾患として世界でもっとも多くみられるインフルエンザA型の予防に役立つことを確かめました。
ヒトの腸には500~1,000種類、100兆個以上の腸内細菌が生息し、食物繊維を有用な代謝産物に作り替える働きをしていています。
食物繊維のほとんどはヒトの消化酵素で消化・吸収されず、体の中を通過し、その過程で、乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌のエサになり、有用な代謝産物に作り替えられるのです。
こうした代謝産物は、エネルギー源として使われるほか、腸の収縮運動を高めたり、炎症やアレルギーを抑える効果があるのだそうです。
また研究チームは、マウスに食物繊維が多い食事を与えると、ヘルパーT細胞への分化誘導が起こることを発見しました。
体には細菌やウイルスなどの有害な病原体から体を守る免疫システムが備わっており、炎症などの免疫反応が起こるのですが、その司令塔としての役割を果たしているのがヘルパーT細胞です。
研究によると、食物繊維を多く与えたマウスは、与えなかったマウスに比べてヘルパーT細胞が活性化していたそうです。これにより、食物繊維が豊富な食事は、腸の健康を改善し、腸の炎症を軽減し、インフルエンザから保護することが分かりました。
これについてモナッシュ大学のマーズランド教授は「食物繊維を十分に摂取することで、腸内細菌叢が改善され、インフルエンザなどの感染症と戦うために、体の抗ウイルス免疫反応が高められます」と話しています。
※引用元:糖尿病ネットワーク
「食物繊維」が糖尿病リスクを減らす インフルエンザの予防にも有用 - 2019年01月21日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2019/028847.php
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