今回は「低炭水化物ダイエットの効果と安全性」について、こんな記事をご紹介いたします。
世の中にはさまざまなダイエット法がありますよね。その中でも特に認知度が高く、実施している方も多いのが「低炭水化物ダイエット」ではないでしょうか。
「低炭水化物ダイエット」とは、炭水化物の摂取を控えることで肥満を解消するダイエット法のことで、「糖質制限ダイエット」や「ローカーボ・ダイエット(ロカボ)」とも呼ばれています。
ただしこのダイエット法をめぐっては、たびたび健康に対する安全性について議論されています。本当のところはどうなのでしょうか。
今回は「低炭水化物ダイエット」の効果や安全性について、研究結果とともにご紹介します。
米オハイオ州立大学の研究では、メタボと判定された平均年齢:41.3歳、体格指数(BMI)平均:39.3の男女16人に、1ヵ月ごとにパターンを変えて次の内容で食事を摂ってもらいました。
●低炭水化物ダイエット(炭水化物6%、脂肪74%)
●中炭水化物ダイエット(炭水化物32%、脂肪48%)
●高炭水化物ダイエット(炭水化物57%、脂肪23%)
※それぞれのダイエットの間は2週間の休みを入れる
※食事パターンの順序は、各参加者によってランダム
※すべての食事パターンに上記に加え、20%のたんぱく質が含まれる
その結果、「低炭水化物ダイエット」を1ヵ月続けると、中性脂肪値が低下、コレステロール値も良化するなど、さまざま検査値が改善することが分かりました。
高炭水化物ダイエットと比較すると飽和脂肪酸を2.5倍も多く含んでいたにも関わらず、血液に取り込まれる脂肪は減少したのです。その結果、参加者の半数以上は 摂取エネルギーは同じにも関わらず、メタボの基準から離脱するのに成功しました。
オハイオ州立大学のジェフ ヴォレック教授は、「肥満のある人が、低炭水化物ダイエットを短期間行うと、体重が減少し代謝障害が改善されます。たとえ体重が減らなくとも、有益な効果を得られることは疑いようがありません」と、話しています。
短期的な「低炭水化物ダイエット」によってメタボリックシンドロームから離脱することは、2型糖尿病のリスク低下にも効果があるといえます。研究では、「中炭水化物ダイエット」でも検査値が改善していることから、控えめな炭水化物の制限であっても効果を得られそうですね。
ただし今回の研究の参加者は、年齢が比較的若く高度な肥満でした。人によって効果の表れ方も異なることを忘れないようにしましょう。
とはいえ、「低炭水化物ダイエットは危険」という声もよく耳にしますよね。やはり「長期的」な低炭水化物ダイエットの安全性は確かめられていないので注意が必要です。
欧州心臓学会(ESC)は、短期的な低炭水化物ダイエットの効果を認める一方で、「長期的な安全性については確かめられていません。それどころか、長期的には心血管疾患、脳血管疾患、およびがんによる死亡リスクを上昇させるという報告があります」という見解を示しています。
米国民健康栄養調査(NHANES)に参加した約2万5000人を対象に、低炭水化物ダイエット・全死因による死亡・冠動脈性心疾患・脳血管疾患(脳卒中を含む)・がんによる死亡との関係を評価した研究結果があります。
研究結果によると、炭水化物の摂取量がもっとも多いグループに比べ、摂取量がもっとも少ないグループでは、平均6.4年の追跡期間で全死因の死亡リスクが32%高くなりました。さらに、冠動脈性心疾患・脳血管疾患・がんによる死亡リスクも、それぞれ51%・50%・35%上昇しました。
合計約45万人を対象とした平均追跡期間15.6年に及ぶ7件の前向きコホート研究のメタ解析でも、全死因・心血管疾患・がんの死亡リスクは、それぞれ15%・13%・8%上昇しています。
そして全原因死亡および原因別死亡リスクは、炭水化物摂取率の減少ごとに上昇し、年齢・性別・人種・教育・配偶者・所得・総エネルギーなどの影響を考慮し解析してもこの傾向は変わりませんでした。
また、55歳以上で非肥満の場合に、低炭水化物ダイエットと全死亡リスクにもっとも強い関連性があることが明らかになりました。
低炭水化物ダイエットで死亡リスクが上昇する理由について、ポーランドのウッチ医科大学のマチェイ バナック教授は、「野菜や果物など食物繊維が多く含まれる食品の摂取量の減少と、動物性タンパク質、コレステロール、飽和脂肪酸のそれぞれの摂取量の増加も影響している可能性があります。ミネラルやビタミン、フィトケミカルの摂取にも違いが出てくると考えられます」と指摘しています。
食事療法の基本は、エネルギー摂取量を過不足なく調整し、「タンパク質」・「脂質」・「炭水化物」をバランスよく摂取することです。低炭水化物ダイエットを始める前に、かかりつけの医師や管理栄養士に相談し、定期的な治療と検査を続けるようにしましょう。
※引用元:糖尿病ネットワーク
「低炭水化物ダイエット」が糖尿病リスクを減少 ただし長期の安全性には疑問も - 2019年07月05日
https://dm-net.co.jp/calendar/2019/029294.php
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