がん治療とお口のトラブルには密接な関係があります。口腔ケアと全身の健康に関する研究を続けてきたサンスターは、がん治療における口腔ケアの重要性に着目し、医療関係者や患者さんの意見をくみあげた、口腔ケアの研究開発や情報発信に取り組んでいます。 がんとたたかう方のお役に少しでも立てるよう、お口の悩みを軽減するための口腔ケア関連の情報を提供しております。
お食事を十分に摂ることが難しくなった方、自分で口腔ケアができなくなってしまった方、起き上がることや移動が難しくなった方などに多く見られるお口の中の状態と対応についてご説明します。
口腔乾燥は次のような要因が重なることで起こります。
1)医学的な管理上、水分コントロールがされている
2)下痢、発熱など炎症による脱水
3)お口から食べていないことによる唾液分泌の低下
4)視覚的、感覚刺激の低下
5)酸素療法、口呼吸
6)薬剤の副作用による唾液分泌の低下
また、痰が多い場合、お口の中に吐き出された痰などがそのまま乾燥し、俗にいわれているカピカピな状態となります。
しばらくお口から食事を摂っていないことや、体重減少、鎮痛剤や向精神薬の服用などから、飲みこむ力が低下することにより誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。飲みこむ力が低下した方への口腔ケアを行う時は、除去した汚れを誤嚥させないように注意が必要です。
ハブラシやスポンジブラシの水分はしっかり切りましょう。うがいは、座位姿勢・側臥位が難しい、意識がはっきりしていない時には推奨しません。飲みこむ力の評価(嚥下機能評価)はかかりつけの医師や歯科医師、看護師、言語聴覚士、歯科衛生士といった専門家へ相談されることをおすすめいたします。適切な食形態や食事時姿勢などのアドバイスも受けられます。
呼吸の状態は食べる機能、お口のケアと深く関係しています。呼吸が荒い時などは食べることだけでも疲労し、誤嚥するリスクが高まります。お口のケアも同様に、呼吸状態が悪い時には十分にケアをすること自体が苦しくなってしまうこともあります。そのような場合は無理をしてケアをすることなく、方法や頻度について専門家へ相談してください。
お口の乾燥は全身の症状の現れのため、口腔ケアやうがいなどで改善することは難しいですが、症状を緩和することはできます。また、栄養摂取量が少ない低栄養状態にお口が乾燥すると、お口の粘膜は脆弱な状態となります。粘膜は傷つきやすい状態のため、愛護的なケアをおすすめします。例えば、スポンジブラシで強く擦る、痰が乾燥したものを剥すようなことをすると、粘膜上皮もいっしょに剥がれ出血してしまうことがあります。ケア前に保湿剤(詳細はこちら>>)を塗布し5分ほどすると付着物が浮いて除去しやすくなります。
口腔ケアは患者さんにお口を開いていただくことが必要です。場合によってお口を開いていることが息苦しくなることもあります。十分に時間をかけてケアができない場合は、ケア回数を増やし、お口に溜まった痰は乾燥し固まる前にスポンジブラシで取り除くようにすると1回のケア時間は短く、患者さんに負担をかけることなくできます。
具体的なケア方法を知りたい、往診で専門的な口腔衛生処置を受けたい時は、歯科医師・歯科衛生士がご自宅に訪問します。かかりつけ歯科医がある場合は、訪問診療をお願いできるか確認してみましょう。かかりつけ歯科医で対応困難な場合は、市町村保健センター、介護支援専門員・訪問看護師など身近にいる担当者に相談してみましょう。
プロフェッショナルの視点から開発され、弱ったお口の中にやさしい低刺激タイプや、乾いたお口を保湿するタイプなど、お口のケアに適した商品ラインアップを取り揃えました。