現在日本は世界有数の長寿国となり、超高齢化社会を迎えています。みなさんは「平均寿命」「健康寿命」という2つの言葉を聞いたことがありますか?
厚生労働省の調査によると、平成28年の「平均寿命」は男性80.98年、女性87.14年。毎年過去最高を更新し続けています。
一方の「健康寿命」とは、健康上の問題で制限されることなく日常生活を送ることのできる期間のこと。平成28年は男性72.14年、女性74.79年となっています。
出典:「平成30年版高齢社会白書(概要版)」(内閣府ホームページ)
「平均寿命」と「健康寿命」には、男女ともに10年前後の差がありますが、この差はいわば“健康ではない期間”を意味します。個々の生活の質の低下だけではなく、医療費等の社会保障負担の増大も懸念されるため、「健康寿命」をいかに延ばすかが社会全体の課題となっているのです。
人間は誰でも、加齢とともに心身の機能が低下します。しかし、いきなり介護が必要な状態になるわけではありません。健康な状態から、筋力や心身の活力が低下する「フレイル(frailty=虚弱)」と呼ばれる段階を経て、徐々に衰えていくのです。
特に筋肉の衰え(サルコペニア)は「フレイル」を加速させる最大の要因。しかし、「フレイル」の段階で継続して適切なケアをすれば健康な状態に戻る可能性もあるため、早期に気づくことが重要なのです。
引用元:http://jp.sunstar.com/oral-frail/
また、「フレイル」の一つとして、近年「オーラルフレイル」という新たな概念が注目を集めています。口周りの筋力が低下すると、食事を食べこぼす、硬いものが食べづらい、お茶や汁物でむせる、滑舌が悪くなるといったトラブルが発生。「高齢だから仕方ない」と軽く考えて放置していると、口腔機能の低下、摂食嚥下障害、咀嚼障害など食べる機能の障害へ進んで行く可能性があり、最終的に要介護の状態になることも。こういった現象や過程を「オーラルフレイル」と呼びます。
体のトラブルと異なり、お口のトラブルはどうしても軽く考えがち。しかし「オーラルフレイル」の過程をみればわかるように、お口の健康と全身の健康には密接な関係があります。
つまり「健康寿命」を延ばすためには、美味しく・楽しく“食べられる口”を維持することが不可欠。そのためには、適切な歯みがきや歯科医院での定期検診でお口を清潔に保つことで、むし歯や歯周病による歯の喪失を防ぎましょう。また、口と舌を動かすトレーニングをしたり、噛みごたえのある食品を食事に取り入れることも大切です。加齢のせいと諦めずに、日常の中で意識的にケアをして、いつまでも“食べられる口”で健康な毎日を過ごしたいですね!