会員さんからお悩み質問BOXに寄せられた質問にお答えします。今回は多くのみなさんから寄せられた「歯周病」に関して、編集部がピックアップしたご質問をサンスター財団の歯科衛生士野田めぐみさんにお答えいただきました。
監修者プロフィール
「最近歯みがきをすると、出血することが多いです。歯科医院で教えてもらった正しいブラッシング法を試しているのですが、改善されません…」(50代・女性)
歯科医院で教わったブラッシングを実践されているとのこと、がんばってケアされていて素晴らしいですね。
歯ぐきの出血は、歯周病の初期症状である「歯肉炎」になっているためと考えられます。
そもそも「歯周病」とは、「歯肉炎」と「歯周炎」の総称。「歯肉炎」はプラーク(歯垢)中の細菌により、歯ぐきが炎症を起こし、赤く腫れた状態を指します。質問者さまのように歯みがきをすると出血する、というのが主な症状ですがこの段階で正しいケアをすれば健康な状態へ改善することができます。
歯肉炎の予防・対策には正しいブラッシングがもっとも重要です。下記の関連コラムに詳しいブラッシング方法を紹介しておりますので是非実践してみてください。また、出血が気になる方は、やわらかめのハブラシで細かくみがくのもおすすめです。
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歯科医院で教わったブラッシングをしていても、出血がおさまらないとのことですが、質問者さまは、歯石の除去はされていますでしょうか。歯に歯石がついていると歯ぐきが炎症を起こし、出血が起こりやすくなります。また、歯周病を進行させる原因にもなります。
歯と歯ぐきの間の溝、歯の根元(目ではチェックしにくい部分です)に歯石がついている場合もあります。気になる場合は、一度歯科医院で相談されることをおすすめします。
「歯の隙間が目立ってきて、よく食べ物が詰まります。歯ぐき下がりを抑える方法はありませんか?」(50代・男性)
歯ぐき下がりの主な原因は、以下の3つが考えられます。
①歯周病
歯ぐき下がりのもっとも多い原因は歯周病です。先述した歯肉炎が進行し歯周炎になると、炎症が歯ぐきだけに留まらず、歯を支えている骨(歯槽骨)にまで及び、歯周組織の破壊が進みます。これによって歯ぐきが下がることがあります。
②ブラッシングのしすぎ
強い力でみがいてしまったり、ブラッシングしすぎたりすると歯ぐきが傷つき、歯ぐき下がりの原因になります。
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③歯ぎしりや歯の噛みあわせ
歯ぎしりや歯の噛みあわせによって、歯ぐきや歯を支える組織に過度な力が加わると、歯ぐきが下がることがあります。
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歯ぐきが下がり食べ物が挟まる→食べかすやプラークが貯まる→さらに歯ぐきが下がる、という悪循環にならないためには、歯間ブラシなどを使用して歯間ケアをしましょう。また喫煙や食生活も歯ぐきに影響を与えます。バランスのとれた食生活を心がけましょう。
そのほか、歯ぐき下がりで注意したいのが、根元むし歯です。歯ぐきが後退すると、歯の根元が露出します。歯の根元の部分は、やわらかく、むし歯になりやすい上に、進行も早いです。歯ぐきが下がりはじめていると感じたら、適切なブラッシングをより重視しましょう。フッ素配合のハミガキやフッ素洗口もおすすめです。
歯ぐき下がりのお悩み相談もたくさん届いていますが、同時に根元が黒ずんでいるという方もいらっしゃるようでした。根元むし歯になっている可能性がありますので、歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
「歯みがきをしても歯ぐきの回りのネバネバ感が残るのが悩みです。解決方法はありますか?」(50代・女性)
歯周病がある程度進行し、歯と歯ぐきの間の溝から「歯肉溝浸出液(しにくこうしんしゅつえき)」という粘度の高い液体が染み出ていることが原因かもしれません。ひとつ目のご質問でご説明した歯周病の中でも、「歯周炎」の状態まで進行している可能性があります。歯周炎になると、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)が深くなる、膿が出る、口臭がひどくなるといった症状も見られます。
歯みがきをする際は、歯と歯ぐきの間を優しくみがくことを意識してみてください。また、歯周病の予防として、お口のすみずみにまで成分が届く液体ハミガキ(デンタルリンス)もおすすめです。
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毎日のブラッシングはもちろんですが、早めに歯科医院でご相談されることをおすすめします。
お悩みを投稿いただいたみなさん、貴重なご意見ありがとうございました! 引き続き、「お口のお悩み 質問ボックス」へのご投稿をお待ちしております。
取材・記事 クラブサンスター編集部