「【ベビーからはじめる育菌】3歳までにはぐくむ上手な「菌」とのつきあい方」で、菌についてのお話をしてくださった、日本に予防医療を普及するためのプロジェクト「ラブテリ」代表の細川モモさん。今回はその「ラブテリ」が9月に発表した子どもの菌叢(きんそう)に関してのアンケート調査「こどもすくよか白書2021」に注目。この調査結果をもとに、子どもが強いカラダを作るために必要なことをうかがいました。
監修者プロフィール
――まずは「こどもすくよか白書」について簡単に教えてください。
「こどもすくよか白書」は、0~3歳のお子さんのいる家庭にアンケートを実施して、その回答をまとめた親子の健康に関する調査レポートです。0~3歳の子どもを丁寧に調べ、母子がそれぞれ抱えている健康課題を見つけて、そこに対するソリューションを社会で作っていこうと呼びかける。その基盤になるものでもあります。身長、体重、ヘモグロビンの測定も行い、調査しています。
――今回の「こどもすくよか白書2021」の概要は?
新型コロナウイルス感染流行中の 2020年10月~2021年1月にかけて0~3歳の子どものいる797世帯にオンラインで「こどもの菌叢」に関するアンケート調査を行いました。
――この調査結果において、親御さんたちに特に注目してもらいたいところはありますか。
子どもの食生活でおくちの中や腸内の菌叢を整えるために行っていることがあるかという質問には、約半数の親が「ある」と回答し、行っていることの1位が「発酵食品を多くとる」でした。
出典:こどもすくよか白書2021
食事などから摂取できる、人のカラダにとって有益な菌を総称して「プロバイオティクス」といいます。発酵食品には乳酸菌や納豆菌などの有益な菌が含まれていることから、腸内環境にいいとされています。
前回もお話ししましたが、0歳から3歳までが育菌の黄金期。この時期に子どもの菌叢を整えることが重要になってきます。約半数の親御さんたちが意識しているということでしたが、約半数はまだ意識していないということが明らかになりました。これまであまり意識されてこなかった親御さんたちは、ぜひここに目を向けて頂きたいなとあらためて思いました。
――ほかに0歳から3歳までの黄金期における 育菌で大事なポイントはありますか?
有益な菌をたくさん摂取するだけでなく、その菌を育てていく「プレバイオティクス」も、一緒に摂ることです。「プレバイオティクス」とは、野菜や果物に含まれる食物繊維やオリゴ糖などの「腸内環境を整えるはたらきのある食品」のこと。“菌のエサになるもの”というイメージです。
今回の調査においても、自宅で保育を行っている69世帯に対して食事調査を行ったところ、排便が良好である親子ではにんじん、かぼちゃ、きのこ類、柑橘類の摂取量が多いという結果が出ています。
出典:こどもすくよか白書2021
「プロバイオティクス」と比べると、「プレバイオティクス」はまだまだ浸透していない言葉です。親御さんたちには、これからぜひ意識していただきたいと思っています。
――「プレバイオティクス」はどのように取り入れるのがいいのでしょうか。
おすすめしたいタイミングは、便秘になりやすいといわれている離乳食はじめの時期ですね。母乳にはヒト由来のオリゴ糖が含まれているので、「プレバイオティクス」を摂れていたんです。でも、それが終わると食事を通じて与える必要がでてきます。
もちろんオリゴ糖のシロップを使うのもいいですが、今回の調査で相関関係がみられた野菜や果物を取り入れることをぜひ実践してみることもおすすめします。今、うちの娘が「ソダテコ やさいではぐくむスムージー」をすごく気に入っていてよく飲んでいますが、にんじん、かぼちゃが入っていますよね。国産で無添加、余計なものが一切はいっていないので、家族で美味しく飲んでいます。こういった野菜ジュースで取り入れるのも手軽でいいかもしれませんね。
――「こどもすくよか白書」を通して伝えたいことを教えてください。
子どもが健康に成長していくことが、すべての親の願いだと思います。しかし、残念ながら日本は、不足しがちな栄養素を日常的に摂取する主食や調味料などに添加して補うといった国策が諸外国に比べてなく、親の知識と子どもの栄養状態が相関することが私たちの調査では明らかになっています…。願うだけでなく、子どもの成長や健康に対する正しい知識が必要です。そのことを伝えられたら良いと思います。