男性の洗髪、あまり気を使わずにゴシゴシやりすぎたり、逆に、無造作に済ませたりしてしまっていませんか?実は洗髪には男性こそ気を使うべき理由があります。「薄毛が気になってきた」、「家族から寝起きの枕がにおうといわれた」、「髪型がうまく決まらない」、その悩み、普段の洗髪で解決できるかもしれません。
プロフィール
「実は男性の頭皮は繊細なんです。例えば脂性なのにフケも気になるなど、脂の多い部分と乾燥している部分が混在している混合肌の方も多いんです。」
出典:「化粧品辞典」(日本化粧品技術社会編) 丸善出版株式会社(2003/12)
男性の皮脂は30代をピークとして徐々に減少していく傾向にありますが、それを意識しておかないと間違った洗髪をしてしまいます。
「単純に皮脂が多いと思って全体を洗いすぎると、実はすでに乾燥肌になっている部分の皮脂も奪ってしまう。皮脂膜は自然のバリアですから、ゴシゴシ洗いすぎると皮脂膜を失って乾燥する部分が増えるんです」
逆に乾燥気味だからと洗髪を簡単に済ませてしまうと、皮脂の多い部分をケアしきれないということになります。では、どのようにするのが最適なのでしょうか。
まず大切なのは「しっかり予洗い」だと平田さんはアドバイス。
「男性の場合、さっと濡らすだけでシャンプーをはじめてしまう方が多いのですが、まずはお湯だけで1分しっかり洗ってください。最初は長く感じるかもしれませんが、とても大切なことです」
なぜ予洗いが必要なのでしょうか。その理由はひとつではないようです。
「汚れがたくさんついたままシャンプーをすると、かえって毛穴に汚れが詰まってしまうということがひとつ。整髪料の油もつまり汚れの原因です。もうひとつは、予洗いをするとシャンプーの泡立ちがとてもよくなります。泡立ちがいいと、汚れが落ちやすいだけではなく、摩擦で毛を傷めないというメリットがあるんです」
さて、男性の洗髪で悩ましいのは整髪料。これを落とすのがなかなか厄介ですが、有効なのは「しっかり予洗い」+「ツーシャン」。
「『ツーシャン』は、2回シャンプーという意味です。1度目のシャンプーは汚れと整髪料の油を落とす。2度目で地肌をしっかり洗う。これで大丈夫です」
シャンプーの際のポイントは「地肌にちゃんと指を届かせること」と平田さんはいいます。そのためには指使いや洗う方向にも気をつけましょう。
「指の腹を使って頭を包み込むように、側頭部から頭頂部に向かって、下から上へと洗っていきましょう。下から洗う理由は、毛は毛穴から下に向けて伸びているからです。上からでは毛穴がちゃんと洗えません」
このように横の下から上に向かって進めていきます。
その際、力をいれすぎないことも大切。
「マッサージをする感覚で。シャンプー用のブラシを使うのも良いですよ。先の丸まった弾力性のあるものです。同じように下から上へを意識しましょう。 時間は、泡立ってから3分ぐらいかけましょう」
最近ではいろいろな材質や形状のものがある洗髪用ブラシ。力を入れずに頭皮にアプローチできます。
「最後はすすぎもしっかり。予洗いが1分ならすすぎは2分。シャンプーをしっかり流し、シャンプーで落とした汚れもしっかり流す。これをおざなりにすると洗った意味がありません。この時も頭皮を意識して指の腹をあてながら落としましょう。リンスインシャンプーであればこれで終了。トリートメントなどを使う場合もしっかり流してからです」
頭皮にシャワーの水がしっかり当たっていることを意識してすすぎましょう。
ほかに注意することとして平田さんは「乾燥」を挙げます。
「すぐに、しっかり乾燥させましょう。ドライヤーは必須です。湿気が残っていると雑菌が増えるんです。『枕がにおう』というお話しですが、洗髪しているのににおうという場合は、整髪料が落とし切れていないか、ドライヤーでちゃんと乾かしていないことが原因かもしれません」
分け目の反対側も毛を起こしてしっかり風を当てると、翌日のセットも決まりやすくなります。
最後に、洗髪に最適なタイミングや回数を聞きました。夜しっかりするべきか、朝、髪の毛をセットする前に行うのか。それとも夜、朝、2回なのか。結論は、「夜1回、ちゃんと頭皮の汚れを落として、しっかり乾かす」。これで十分。繊細な皮脂膜に必要以上に刺激を与えないことが大切なのです。
「力の入れすぎだけではなく、回数が多すぎるのも皮脂膜のバリアを考えると良くありません。寝起きに頭皮のムレが気になったり、セットしやすくしたいという方は、朝、濡らすだけでも大丈夫です。夜にトニック系のシャンプーを使うのもいいですね。爽快感が長く続くので、朝も気分がいいと思います」
1.予洗い1分、泡立って3分、すすぎ2分
2.整髪料対策はツーシャンで
3.地肌を意識してマッサージ感覚で
4.ドライヤーでしっかり乾燥
5.1日1回、夜にしっかり
取材・記事 岩瀬大二
撮影 石原敦志