いつも「スッキリ!」するためにやっているお肌やお口などのケア。でも、本当にそれで大丈夫!?がんばり屋の星子さんと優しい夫の太陽さん、そしてその周りの人たちの「スッキリ!」について、専門家が○か×かを教えてくれるシリーズ、第4回です。
<登場人物>
星子さん:仕事も趣味もいつも一生懸命で勉強熱心な35歳。素直なキャラで人気者。休日、夫と一緒に料理をするのがくつろぎの時間。
太陽さん:星子さんのパートナー。家事や仕事を効率よくこなす器用なキャラクターで、がんばりすぎの星子さんを優しくサポート。




いつも何事にもがんばる星子さん。朝晩2回の洗髪も日課。そして家にいる時も洗髪後のドライヤーは根元から毛先までしっかり、ばっちり。これでスッキリ。でも髪の毛短めの旦那さんは「そんなにやらなくても大丈夫なんじゃないの?」とちょっと心配顔。
ここで疑問。洗髪後のドライヤー、回数ややり方ってどれくらいが適当なんでしょうか。専門家に聞きましょう。
今回の相談相手
- 吉田貴子先生
- 皮膚科・美容皮膚科医。『渋谷スキンクリニック』院長。帝京大学医学部卒業後、同大学付属病院などに勤務。東京都内の美容皮膚科クリニック院長に就任。2004年に『渋谷スキンクリニック』を開院。一般皮膚科と美容皮膚科の両方を開設し、男女問わずあらゆる肌の悩みに向き合う。
美容と頭皮のためにドライヤーは必須
洗髪後にドライヤーでしっかり乾かす習慣はとてもいいですね。
ありがとうございます!
まず、そもそもなぜドライヤーを使って乾かさなければいけないのか?これはまず、頭皮のためなんです。
あ、それは意識していませんでした。
頭皮は皮脂が出る場所。そして、毛穴、表面には常在菌、カビとバクテリアがいます。厄介なのはカビの一種、マラセチア・フルフル菌。
名前はちょっとかわいらしいですけど、カビがいるなんて。
健康な頭皮でも、もともといるんです。このマラセチア・フルフル菌が、皮脂や水分を栄養にして脂漏性皮膚炎を起こします。顔や、胸、背中にも多いのですが、頭皮は髪の毛があるから生乾きになりやすいですし、蒸れやすくジメジメした時間が長い。
生乾きって、皮膚炎のリスクをもたらすんですね!
はい。脂漏性皮膚炎になると赤み、かゆみが出て、そして皮がむけてフケになります。日焼けでも皮がむけますよね。あれは紫外線による皮膚炎で「日光皮膚炎」といいますが、頭皮の場合はこまかく粉状のフケになるんです。皮膚科としてのアドバイスでいえば「ドライヤーを使って頭皮はよく乾かしましょう」ですね。
フケの原因は乾燥ではなくジメジメ
私はフケが出ないようなので、ドライヤーでしっかり乾かしていることはいいことだったんですね。
良いことです。フケってカサカサと乾燥しているから出ると思われている方も多いようですが、逆なんです。フケは油や水分によるジメジメ、脂漏性皮膚炎がもたらすんですよ。
ジメジメした環境が良くない、ということですが、整髪料をしっかりつけるのもやめた方がいいですか?
整髪料は、髪の毛につけるのはいいのですが直接頭皮につけちゃだめですね。脂をつけると菌が喜んじゃう。
そうなんですね。では、頭皮の中でも特に気をつけて乾かしたほうが良い場所はあるでしょうか?
頭頂部よりも耳の周り、後頭部など、髪の毛がかぶっている場所ですね。ここは菌が繁殖しやすいです。ちなみに顔でいえばTゾーン、体で胸骨の上も同じように出やすい場所です。

なるほど!顔のTゾーンは普段気にしているところなのでわかりやすいです。
自分の生活環境を知るためのドライヤー
では、ドライヤーを使うタイミングについてお聞きします。私はタオルで拭いた後にすぐ使うのですが…?
はい、洗髪後なるべく早くドライヤーで乾かすのが理想です。
よかった!ほかに、先生が実践されているドライヤーのかけ方のコツなどがあれば教えていただきたいです。
髪ではなく地肌に当てるつもりで乾かすこと。そして、乾かしているつもりが温風を当てすぎて、じんわり頭皮に汗をかきはじめてしまっては意味がありません。頃合いのいいところで冷風に切り替えるといいですね。ただ、頭皮の環境は個人差も大きく、寝不足、ストレス、シャンプーとの相性、食生活などいろいろな要素が反映されるんです。

なるほど!先生、こういうのはどうでしょう?アドバイス通りにドライヤーを当てて、それでもかゆみやフケなど不快なことがあれば、その原因を探るという、ドライヤー時間で生活習慣の定点観測というのは?
それはいいですね。頭皮のケアのために、上手にドライヤーの時間を活用してみてください。
取材・記事 岩瀬大二
撮影 石原敦志
イラスト なとみ みわ
