暑い季節を乗り切るために、どんな工夫をしていますか?クーラーの効いた部屋で涼をとるのもいいですが、ハーブの力を借りてリフレッシュするのはいかがでしょうか。ハミガキの爽やかなミントの香り、サシェやポプリとして人気のバラやラベンダー、イタリアンには欠かせないバジルなど、実は身の回りにはハーブが活用されているものが多くあります。スッキリしたい時、疲れた時などに使いたいハーブのさまざまな活用法を紹介します。
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「ハーブ」と聞くとどんなものを思い浮かべますか?緑の葉っぱの印象が強いのではないでしょうか。池田さんによると、ハーブは葉以外にもさまざまな種類があります。
「ハーブという言葉は、ラテン語から来ており『草』という意味なんです。ただ、草だけでなく、木や果実もありますね。ただし、野菜のサラダ菜のようにそのままたくさん食べるようなものではありません。決められた定義はありませんが、一般的には生活に役立つ香りある植物をハーブとしています」
人類とハーブの出会いは、約6万年前のネアンデルタール人との推測があり、ヨーロッパでは新石器時代の遺跡でもハーブの使用が確認されているそう。日本では最古の和歌集『万葉集』にハーブが登場するのだとか。とても古い歴史があるのですね。
代表的なハーブのひとつ、ペパーミント。葉を摘んでそのままお料理に使ったり、成分を抽出するためにハーブティーにするなど、さまざまな用途に利用されている。
乾燥させたドライハーブは、お店などで手に入れやすい。
暑くてバテ気味な夏に取り入れたいハーブには、どんなものがあるのでしょうか?
「夏には水分補給が欠かせません。スッキリしたい時にはピッチャーに生のペパーミントとレモンバームを入れたハーブ水はいかがでしょうか。ミント系にシトラス系はとてもあうんですよ。お水にハーブを入れ、冷蔵庫に数時間置いておくだけでOK。疲れを感じた時には、ペパーミントとハイビスカスの組み合わせもおすすめです。ハイビスカスは水に出すときれいなピンク色になり、酸味もあるので暑い季節にぴったりです」
ハイビスカスを一躍有名にしたのは、1964年の東京オリンピックの男子マラソンで金メダルを取ったアベベ選手。競技中にハイビスカスティーを飲んでいたことで注目されました。
「ハーブ水だけでなく、ハーブティーもいいですね。ペパーミントとカモミールのブレンドは世界的に有名で、胃腸の調子が悪い時に処方される国もあります」
冷蔵庫にハーブ水があると、見た目もおしゃれで、暑さでぐったりした心身もリフレッシュできそう。ハーブティーを温かいまま飲めば、夏の冷房で冷えたカラダにもよさそうです。
ペパーミントはほかに、オイル系のパスタの上にちぎって添えると、おしゃれなうえ、すっきりと食べられます。
「私はカラスミパウダーを使ったパスタによく散らします。普段はあさつきやシソなどを使いますが、ペパーミントに変えてみるととってもおしゃれです」
肉料理などによく使われるローズマリーもおすすめだとか。
「頭をシャキッとさせたい時には、ローズマリーがいいですね。ドレッシングに入れたり、お魚やお肉を焼く時に入れたりと、活用の場はたくさん。脂っこいものがさっぱりと食べやすくなります。また、鯛や白身魚にローズマリーを挟み、オリーブオイルをかけてオーブンで焼くだけでもおいしいですよ」
ローズマリー。栽培のしやすさも抜群。
池田さんによると、古代ギリシャ、古代ローマの時代には、学生が脳を活性化させるため、試験会場に行く時ポケットにローズマリーの小枝を入れていったそうです。池田さん自身も、頭を使うセミナーの日には、ローズマリーの精油が香るペンダントが欠かせないのだとか。
ローズマリーは、生でもドライでも活用でき、手に入りやすく使用用途も広いのでうれしいですね。
ハーブの活用法を知ると、自分でも育ててみたくなってきませんか?初めてでも簡単に育てられるものから教えていただきました。
「多少水やりを忘れても大丈夫なのはローズマリーです。乾燥気味の環境が適しているので、水をあげすぎるとむしろ枯れてしまいます。鉢の大きさにもよりますが、真夏以外は数日に1回でよいでしょう」
代表的なペパーミントも、お家で育てられるのでしょうか?
「ペパーミントは水が好き。日本でも和はっかが自生しているのは、湖のほとりなど水が豊富なところが多いです。ペパーミントを鉢で育てるならたっぷりと水やりをする必要があります。大きなプランターなら1日1回程度、小さな鉢で日当たりがよいなら、1日に2回くらいがいいですね。冬は毎日ではなく、1日おきくらいでよいでしょう」
ほかに、レモンバームも自宅で育てられます。どんなハーブも基本的には適度に土が乾いたらお水をあげるとよいのだそう。
今年の夏は自宅でハーブを育てながら、ハーブ水やハーブティー、料理などに活用してみてはいかがでしょうか。
※持病のある方や、服薬中の方で不安がある方は、主治医に相談するなどご注意の上、お楽しみください。
取材・記事 栃尾江美
写真協力 ソフィアフィトセラピーカレッジ