冬太りが気になるこの時期。世の中には数多くのダイエット法がありますが、最近いろいろな意味で話題になっているのが炭水化物抜きダイエットです。「痩せた!」と話題になる反面、その効果に疑問の声や、リスクを指摘する声もあったりして、「一体どっち?」と気になるところ…。そこで今回はこのダイエット法を、仕組みからひも解きたいと思います。
炭水化物は、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルと並ぶ5大栄養素のひとつで、糖質と食物繊維に分かれます。糖質は、脳などで使われる大切なエネルギーのブドウ糖になりますが、使われなかったブドウ糖は、脂肪として体内に蓄えられます。
つまり、炭水化物を控えるということは、余分な脂肪のもとを摂らないということ。ブドウ糖の貯蔵庫は補給がなくて空っぽになるのにエネルギーは必要だから、過去に蓄積した脂肪を分解して消費=痩せる!という仕組みです。また、炭水化物の食べすぎは、血糖値の急激な上昇につながります。血糖値が急激に上昇すると、体内ではインスリンが大量に分泌されます。インスリンには、使いきれなかった糖を脂肪に変えて蓄えるはたらきがあるため、大量に分泌されると、太りやすくなるとされています。炭水化物を抜くことは、血糖値の急上昇を防ぐという点でもダイエット効果があるとして注目を浴びるようになりました。
理論的、そして短期的には効果があると思われるこの方法ですが、世界的な評価はさまざま。低炭水化物ダイエットや低脂肪ダイエットはアメリカでの研究発表も多く、相応の評価が出ているものもありますが、ヨーロッパでは心血管疾患のリスクが上昇するという調査結果も出ています(※)。
また、脳にエネルギーが回らず集中力がなくなったり、疲れやすくなったりする人も。
炭水化物に限らず、何かを抜くという食生活はやはり無理が生じます。病気などで食事制限がある場合を除いては、バランスの良い食事、そして無理なく続けられる方法を考えた方が良さそうです。
「炭水化物を抜く」といった極端な食事制限よりも、バランスの良い食事を意識してみませんか。おすすすめは、いつもの食材を血糖値が急激に上昇しにくい食材に置き換えること。例えば、主食なら白米を玄米に、砂糖なら白砂糖をオリゴ糖やきび砂糖、黒砂糖などに置き換えて、食事の「質」を見直すことで、急激な血糖値上昇を抑える健康的な食事に変えていくことができます。その上で、食べ過ぎないなど、「量」に気をつけること。
つい「流行の○○ダイエット」に目が向きがちですが、「食事の質」を高めることが、実は健康的なダイエットの大切なポイントということ、ぜひ覚えておいてくださいね。
※Lagiou P. ``Low carbohydrate-high protein diet and incidence of cardiovascular diseases in Swedish women: prospective cohort study.'', BMJ,2012; 344:e4026.