じめじめとした湿気が気になる季節になってきました。この時期、お子さんがいる家庭で特に気を付けたいのが「ダニ」。これからの季節、ダニの増える条件がもっとも整っているのです!
実は、アレルギーの原因としてもっとも多いのがダニ。ダニが増えると、子どもや家族をアレルギーのリスクにさらすことに…。そこで、「ダニってどういう特徴があるの?」「効果的な対策は?」などを、広島大学大学院・統合生命科学研究科教授の河本正次さんに教えていただきました。
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これからの季節、気になるダニ。そもそも、ダニとはどういう特性があるのでしょうか? 一口に「ダニ」といってもさまざまな種類があり、私たちがもっとも注意すべきなのは、アレルギーを起こす原因になる「チリダニ(ヒョウヒダニ)」です。
ダニが増えやすいのは、高温多湿な場所。そのため、湿気が増える梅雨から夏の季節にダニ対策をすることがとても大切です。また、ダニが好むのは人の汗・垢やフケ、またそこで増殖する微生物が多い場所です。高い温度と湿度、好む場所、そしてダニのすみかとなる隠れ家。この3条件がそろいやすい季節のピークが、まさに今なのです。
高温多湿に加え、ソファや寝具に汗などが付く夏はダニが増殖しやすい環境です。
ダニが増えると、私たちにどんな影響があるのでしょうか?
「アレルギー性の喘息や鼻炎、アトピー性皮膚炎の原因として、もっとも多いのがダニだといわれています。ダニの死骸やフンの影響により、アレルギーを発症しやすい体質になったり、症状が出たりする確率が高まるのです」と河本先生。
生きたダニが直接悪さをするのではなく、死骸やフンが原因だったのですね。ダニが増えると死骸やフンも増えるため、アレルギーのリスクが高くなるというわけです。
死骸やフンは小さいため、ハウスダストなどに混ざって空気中に舞いやすいのです。それを吸い込むことで、アレル物質が体内に入ってしまいます。
まだカラダの機能が未熟な乳児や、すでに何らかのアレルギー疾患がある子どもがいるご家庭では、特に注意を払ったほうがよいそう。
「もともとアトピー性皮膚炎や食物アレルギーのあった子どもが、ダニの死骸やフンの影響を受けると、さらに別のアレルギーが発症する可能性が高まります。次々とアレルギーを発症する状態『アレルギーマーチ』のリスクも高まります」
「アレルギーマーチ」に陥らないために、早めの対策を心掛けたいですね。
ダニが多い場所は、カラダが触れる場所で、高温多湿なところ。例えば、布団や枕は暖かいうえ、夜中に汗をかくので湿気が多く、フケや皮脂などダニが増えやすい条件が整っています。
さらに、人が触れているソファ、じゅうたんなども同様です。また、子どもがよく触れているぬいぐるみやクッションも…。特によだれなどが付着していると、それもダニの温床になります。
ソファやクッション、ぬいぐるみはダニの温床になりやすい。
ダニ対策は、まず生きているダニをできるかぎり減らしましょう。加えて、ダニの死骸やフンも取り除くことが基本です。
では、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか? 毎日の習慣としての対策と、お休みの日など時間のある日の対策を分けて教えていただきました。
「日々の対策としては、部屋の換気や除湿が効果的です。エアコンの『除湿モード』もよいですね。加えて、お部屋のほこりを掃除機やモップなどでこまめに取るようにしてください」
こまめな対策が肝心といえそうですね。それではお休みの日はどうでしょうか。
「寝具の湿度を減らすためのケアとして、天気がよければ布団を干すとよいでしょう。晴れる日が少ない梅雨時は、布団乾燥機をかけるのもいいですね。また、布団乾燥機の機能によっては、ダニを殺す効果もあるとされているものもあります。生きているダニを減らした後は、死骸やフンを含んだホコリを掃除で取り除くようにしてください。可能であれば丸洗いするのも効果的です」
天気のいい日は布団を干して、そのあとに掃除機をかけましょう。
ソファや枕のカバー、クッション、子どものぬいぐるみなども定期的に丸洗いするのがおすすめだそう。
理想的には、週末ごとに布団を乾燥させ、頻繁に掃除機をかけたいところ。でも、日々忙しく、時間が取れない人も多いのではないでしょうか。そんな場合の対策についても教えていただきました。
「忙しい方は、ダニよけ効果やアレル物質を不活性化できることが立証されている製品を補助的に使うのもよいでしょう。大型で洗いにくいソファやベッドなどにも対策の一助とできるでしょう。ただし、ダニアレルギー対策の基本は、アレル物質を住環境から取り除くことです。無理なくできる対策を組み合わせて、こまめな掃除や寝具のケアを心がけていただきたいですね」
ダニ対策をまとめると、洗えるものはできるだけ丸洗いし、それ以外はダニが死滅する60度以上の高温にするか、布団干しなどで乾燥させます。さらに、ダニの死骸やフンに含まれるアレル物質をこまめに取り除くことが対策の基本になります。また、ダニよけ効果やアレル物質を不活性化できる効能を持った製品などを補助的に利用することも効果的です。
ダニをゼロにすることは難しいため、日々のルーティーンや、定期的な家事に組み込み、継続して対策していきましょう。ダニによる心配を減らし、快適に過ごせる環境をキープしたいですね。
取材・記事 栃尾江美