子どもの成長を感謝してお祝いするとともに、これからの健やかな成長を神社などで祈願する七五三。晴れ着を着てお祝いするというご家庭も多いのではないでしょうか。
子どもの成長とともに見守りたいのがお口の健康。でも、生まれた時から12歳頃の生え替わり期まで、その悩みは尽きないようで…。
今回は、0歳から12歳までの子どもを育てているお父さんとお母さんにお子さんのオーラルケアのお困りごとについてのアンケートを実施。専門家に回答してもらいました。
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お悩みのダントツ1位は「子どもがちゃんと歯をみがけているか心配、みがき残しがあるような気がする」というもの。
お父さんお母さんからは「なるべく本人に任せていたら、みがき方が適当になっていたようで奥歯が一部むし歯になってしまった。あまりみがき方がうまくないようで心配」(あきさん/10歳男児)というコメントがありました。
「子どもに任せていると、けっこうみがき残しがある子も中にはいます。上の前歯の表側を見て、汚れているかどうかチェックしてみるといいでしょう」と宮本先生。
子ども自身が舌で歯を触って、ツルツルしていたらちゃんとみがけている、ザラザラしているとみがけていないとわかるようになるのが理想だそうです。
「歯みがきの時間の目安は3分。ちゃんとみがけていない子はおそらくそれより短いと思います。3分しっかりみがけるように、見守ってあげるといいでしょう。慣れるまで、週に1回程度はお父さんお母さんがみがくのを手伝ってあげるといいですね」
それでも気になる場合は、「バイキンがどれだけ残っているか見てみようか」とみがき残しが赤く染まる染色剤を使ってみるのも効果的です。
「歯みがきの大前提として、子どもにあうハブラシを使っているかが重要です。最大のポイントは、適切なサイズを見極めること。子どもの手や歯の大きさにあうハブラシを選びましょう」
サンスターの「Doクリアこどもハブラシ」には幼児用、園児用、小学生用、「ガム・デンタルブラシこども」には、乳歯期用、永久歯用のサイズがあります。
お悩みの第2位は、「子どもにむし歯ができないようにしたい」というもの。
「フロスからうがい液まで頑張っているのに、むし歯ができてしまう」(eriさん/8歳女児)「むし歯になる前に親が気づける方法があれば知りたい」(こうじさん/4歳女児)など、むし歯に関するお父さんお母さんの心配は大きいようです。
「お子さんのお口の中を観察して、歯が黒っぽくなる、茶色っぽくなる、白濁するなどの色の変化があったらむし歯になりはじめている証拠。すぐに歯科医院を受診してください」と宮本先生。
ただし、歯と歯の間のむし歯は見つけにくい、また、変色に気がついてからでは遅いという意見もあります。
「理想は、1~2歳のうちから、自覚症状がなくても3~6ヶ月に1回は歯科を受診するという習慣を身につけていただくこと。痛みのないうちからの受診を習慣にしておけば、歯医者さんは痛いところではなく、お口をきれいにしてくれるところだという認識が生まれるので、連れていきやすいです」
子どもを歯科医院に連れていく時は、12歳までだったら小児歯科に行くのがおすすめ。
また、むし歯ができる以前に、むし歯菌をうつさないようにしたいというお悩みも多く聞かれました。
「むし歯菌をうつさない生活習慣とポイントが知りたい。今は食器もすべて別で、親や他人の口をつけたものが子どもの口に入らないように細心の注意を払っています」(ほーりーさん/2歳女児)。
むし歯菌がうつりやすい時期は1歳半から2歳半頃といわれています。同じスプーンを使わないようにしよう、などとよくいわれますが…。
「最近では、親から子へむし歯菌もうつっていくけれど、良い菌もうつしていくという風に理解されつつあります。ですから、神経質にならずに生活していただければと思います。何よりも大切なのは、お父さん、お母さんのお口をきれいに保つことです」と宮本先生。
むし歯予防には、親子でお口のケアをしっかりしつつ、定期的に歯科医院に通う習慣を身につけるのが良さそうです。
お悩みの第3位は、「子どもが歯みがき嫌い」というもの。
「仕上げみがきします~!といって口を開けて寝てくれるものの、しっかりみがこうとすると痛いのか、泣き叫ぶのが毎日です。うまい方法がないものかーと思っています」(さやかさん/1歳男児)「ハブラシを口に入れようとすると一文字に結んで開きません。ガーゼで拭こうとすると噛まれて痛い」(ゆみさん/1歳女児)「歯医者さんで痛い思いをしても適当なみがき方しかしません。歯みがきが、どうしてそんなに嫌なのか不思議です(おおたんさん/7歳男児)など、嫌いなお子さんは多いよう。
「2~3歳のイヤイヤ期の子どもが仕上げみがきをいやがるのは、よくある話。子どもの好きな歌を歌いながら仕上げみがきをする、親が楽しい雰囲気で歯みがきをしているところを見せるなど、歯みがきは楽しいものだというイメージをつけていくといいですね」と宮本先生。
仕上げみがきには、ヘッドが小さい専用のハブラシがあるので利用しましょう。
「Doクリア こどもハブラシ」と「ガム・デンタルブラシ こども」仕上げみがき用。
では、仕上げみがきを卒業しても歯みがきを嫌がる場合にはどうすればいいのでしょう。
「食事の後や寝る前の時には歯をみがくもの、として習慣づけをしていくことが何より大切です。短時間ハブラシをくわえるだけでもいいので、根気強く続けていってください。テレビを見ながら、お風呂に入りながらなど、楽しいことと結びつけて習慣づけていくといいでしょう。みがけたらシールを貼るなど、達成感のあるごほうびをあげてもいいですね」
お悩みの第4位は、「仕上げみがきの卒業の時期はどうやって見極める?」というもの。
「6歳臼歯といわれる第一大臼歯が生えて安定してくる小学校2年生くらいまでは毎日していただきたいです。じゃあ3年生になったらまったくしなくていいわけではなくて、週に1~2回は仕上げみがきをしてあげて欲しいです」と宮本先生。
その後は「子どもがちゃんと歯をみがけているか心配」のところでもお話ししたように、本人がきちんとみがけているかチェックして、みがけるようになったと判断すれば卒業してもいいでしょう。
ちなみに、子どもは1日何回歯みがきをすればいいのでしょうか。
「理想は毎食後と寝る前です。けれど、学校で歯みがきの時間がないとか、外出時にはみがけないなどの事情もあるでしょうから、最低でも寝る前だけは必ずしっかりみがく時間を取るようにしてください」
お悩みの第5位は、「子どもの歯並びが悪いので心配」というもの。
「顎が小さくて永久歯が入りきらず、歯科矯正が必要になってしまいそうです。顎を順調に発達させる方法を知って、予防したいです」(ふるしょうさん/3歳男児)
「実は、永久歯がきれいに並ぶ子のほうが断然、少ないんです」と宮本先生。「歯並びは顎の大きさと歯の大きさのバランスで決まってくるのですが、遺伝による影響が大きいです。歯並びが悪い場合は、矯正治療の対象となります」
では、その見極め時はいつなのでしょうか。
「永久歯への生え変わりにあわせて、上下の前歯が4本ずつ生えたくらい、学年でいえば3年生頃に、矯正治療を開始するかどうか歯科医院で相談するといいでしょう。また、歯並びとは別に、受け口や交叉咬合(上下の噛みあわせが歪んでいること)などは乳歯の時から矯正をはじめた方がいいともいわれています」
今まで見てきたように、子どものオーラルケアは、家庭できるものと歯科医などのプロに任せた方がいいものがあります。自宅で上手にケアの習慣をつけるとともに、定期的に歯科医院で点検を行うようにすれば、子どもはむし歯のない健やかなお口で過ごしていくことができるでしょう。
最後に、子どもの年齢ごとにお口の中の状態と歯みがきのポイントをまとめておきます。
取材・記事 池田美樹
イラスト なとみみわ