TVのニュース番組のお天気コーナーには欠かせないのが気象予報士。誰よりもお天気に詳しい気象予報士に、冬の天気とお肌の関係や、ご自身の日々の乾燥対策を教えてもらいました。
取材先プロフィール
柴本さんが本格的に気象予報士の仕事をはじめたのは3年ほど前のこと。それまでは一般企業の総合職ではたらきながら、気象コラムなどを書いていました。
「気象予報士の資格自体は、大学4年生の時に1年間、気象予報士講座『クリア』に通い、その後仕事をしながら勉強し、取得していたんです。苦手な物理や数学、雨の量や風向きなどの専門知識を苦労しながら身につけたのに、社会人になってそれを生かす機会があまりなくて。このままでは死ぬ時に後悔するかも、と一念発起して会社を辞め、気象予報士になることに決めました」
1日に何度か更新される最新の天気図はスマートフォンで確認。
「テレビやラジオで天気予報を読む仕事」と思われがちな気象予報士ですが、実は表に出ていないところで、やるべきことがたくさんあります。
「私の場合、自分の出演がある日とない日の2パターンがあります。出演がある日は、テレビ局に夜中2時半くらいに入り、ヘアメイクをし、最新の天気図を確認して、テレビで使う画面を決め、4時20分から1回目のオンエアに入ります。本番で話す内容は前日に考えておき、直前に最新のデータを見て修正します。解説時間は決まっているので、構成を考える時にストップウォッチで測るのはマストです」
アナウンサーが読む原稿も作成する。
出演がない日は、アナウンサーが読むための原稿を作成し、各テレビ局に送ることもあります。
「天気予報に必要なのは理系の知識ですが、原稿を書く時に必要なのは語彙力。ただ単に『晴れるでしょう』だけではなく、洗濯物について触れたり、乾燥するから喉のケアに気をつけましょう、など注意喚起をすることも大切。天気予報の精度を上げることと同じくらい、自分らしい天気予報の言葉選びも磨いていかなくてはと思っています」
柴本さんがいつも持ち歩いている仕事道具。左から、天気図、最新の気象データを確認するためのスマートフォン、セリフの時間を測るストップウォッチ、のど飴。
冬は降雨量も少なく乾燥するのでお肌に注意、という柴本さんの予報によると、この冬はさらに寒さや乾燥が厳しくなり、お肌にとっても厳しい状況が続くとか。(12月の取材時にお聞きしました。コラムが公開される頃、果たして予報は当たっているでしょうか?)
「3年ぶりにラニーニャ現象が発生しています。ラニーニャ現象とは、東太平洋赤道付近の海面水温が平年より低い状態が長期間続く現象をいいます。ラニーニャ現象が発生している時の日本の冬は、気温が低く、乾燥しやすくなる傾向があるんです。さらに太平洋側は、西高東低の冬型の気圧配置により、日本海側で雪となり水分が抜けて乾燥した空気が流れ込むため、さらに乾燥しやすくなるのでお肌にもより注意が必要です」
出演する時は、その日に最適な服装を意識しています。
乾燥する季節、肌と喉を守るために、柴本さんはどんなことをしているのでしょうか。
カフェでお茶を飲む時も湯気を顔に浴びるなどひと工夫。
「自宅では常に加湿器を使用し、さらに乾燥を感じる時は洗濯物を室内に干しています。朝は必ずシートマスクをしてからメイク。外出先で温かい飲み物を飲む時は、カップを顔の下に当て、湯気を浴びたりもします。また、喉の調子があまり良くない時は、2枚のマスクの間に濡らしたティッシュなどをはさんで使っています」
例年より厳しい寒さと乾燥が続くこの冬。ぜひ柴本さんの乾燥対策も参考にして、肌と喉を守りながら乗り切りましょう。
取材・記事 古屋美枝
撮影 土佐麻理子