太陽が恋しい梅雨の季節、家事の悩みはもっぱら洗濯物ではないでしょうか。気を付けているつもりでも、ついつい洗濯物から嫌なにおいが…。それは洗濯物に付着した細菌によるもの。あらためて、細菌が繁殖するしくみや、繁殖を防ぐ方法を確認し、対策を知っておきたいところ。今年こそは、においに悩まされない洗濯ライフを送りたいですね。
この連載は、「家のコトは生きるコト」をモットーとする一般社団法人 辰巳渚の家事塾で家事セラピストとして活躍する方に、私たちの生活の「困った」をお伺いするシリーズ。第1回目は、洗濯物のにおいの解消について、辰巳渚の家事塾で代表理事を務める淀川洋子さんに伺いました。
雨の日に干す洗濯物の嫌なにおいを撃退しましょう。
プロフィール
洗濯物がにおうのは、汗や汚れを栄養分として細菌が繁殖し、においのもとを発生させるから。この細菌は、温度と湿度と栄養分(タンパク質)の条件が揃うと繁殖します。その条件にぴったりなのが「梅雨の時期」というわけです。
まず、洗濯物は汚れた状態で放置していると、洗う前から細菌が繁殖します。さらに、洗濯した後も細菌は残っているため、濡れた状態で放置することで、細菌が繁殖しやすい状態を作ってしまうのです。
雨の日は部屋干しをせざるを得ないことも多いでしょう。その際にも、濡れた状態をできるだけ短くすることが大切です。
温度や湿度の条件がそろうことで細菌が繁殖し、においのもとを発生させます。
温度と湿度が揃うとにおいが発生するため、洗濯物は放置せず、早く乾かすことが大切。次のようなことに注意しましょう。
・洗った後に放置しない
一番の基本です。洗濯した後、洗濯機の中に入れっぱなしにしておくのはもってのほか。洗ったらすぐに干すようにしましょう。そのために、すぐに干せる時間帯に洗濯機を回すことも大切です。
・できるだけ素早く乾かす
部屋干しにせざるを得ない場合でも、できるだけ風通しのいい場所で干しましょう。雨の日は窓を開けたくないかもしれませんが、雨が吹き込まない程度に開けた方が風通しは良くなります。
自宅にいる場合には、換気扇を回したり、扇風機で風を送るのも効果的です。ほかには、風呂場の乾燥機能を使って、ある程度の水気を取り除いてから干すのもおすすめ。
また、洗濯物の下に新聞紙を敷いておくと、空気中の水分を吸収してくれるので比較的早く乾きます。段ボールでもいいでしょう。
扇風機などで洗濯物に風を当てると早く乾いてにおいの防止になります。
・洗濯機を清潔にする
洗濯機の槽内で細菌が繁殖していることもあります。その場合は洗うたびに洗濯物に細菌がついてしまうので、いくら工夫をしても効果を期待できません。梅雨時や夏場は、月に一度は洗濯槽クリーナーできれいにしましょう。
また、使っていない時にはふたを開けておき、湿気がこもらないようにします。
においの気になる時期は、毎月洗濯槽のクリーニングを。
・残り湯を使う場合はすすぎを丁寧に
おふろの残り湯で洗濯する場合には、汚れが付着しやすいので除菌できる洗剤を使いましょう。水道水を使って、2度すすいでください。
においがついてしまった洗濯物、何度洗ってもにおいが取れないことがあります。洗濯機を洗濯槽クリーナーできれいにしても改善しない場合は、次の方法で対処しましょう。
・煮洗い
大き目のお鍋に入れて熱湯で煮洗いすると、細菌が死滅してにおいが取れます。この際、洗剤は必要ありません。その後、洗濯機でいつも通り洗います。
・重曹でつけ置き洗い
水に重曹を溶かし、30分~1時間つけ置きします。その後、いつも通り洗濯機で洗います。
洗濯機を回す前のつけ置きで、汚れもにおいもとれやすくなります。
・酸素系漂白剤を使う
上記の方法に、色物にも使える酸素系漂白剤を併用すると、においの除去に効果的です。
カーディガンなどのおしゃれ着がにおってしまったら、ドライアップなどおしゃれ着洗い用の洗剤で洗うのがよいでしょう。水ではなくぬるま湯でつけ置き洗いをすると効果がアップ。その後、洗濯機で脱水をして干します。
普段着をおしゃれ着洗い用の洗剤で洗っても、しっかり汚れが落ちます。分けるのが面倒であれば一緒に洗ってもよいでしょう。
おしゃれ着洗いはドライアップを使用して。
さまざまな工夫ができますが、負担になりすぎないように自分の生活リズムにあわせて考えるようにしましょう。
例えば、洗濯物を毎日洗って干す方が清潔ですが、忙しければ週に1回でもかまいません。その場合には、洗濯機の中にためておくのではなく、通気性のよいかごに入れるなど、自分なりの工夫をするとベターです。
また、電気代がかかるとしても「梅雨時だけは風呂場の乾燥機能を使う」と割り切ってしまうのもひとつ。自分なりのやり方を見つけて、雨に負けずに気持ちよく洗濯したいですね。
取材・記事 栃尾江美
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