もはや春の風物詩ともなった花粉。実は、春だけでなく夏や秋にも気になる花粉が飛んでいることをご存じでしょうか?
今回は、冬から春に花粉を飛ばす「スギ」や「ヒノキ」に比べてあまり注目されることのない、夏や秋に花粉を飛ばす「ブタクサ」や「オオアワガエリ」に着目してみましょう。
Twitterで大人気!12万人以上のフォロワーを持つアカウント「やけに植物に詳しい悟空」の“中の人”であり、『やけに植物に詳しい僕の街のスキマ植物図鑑』の著者である瀬尾一樹さんに、ライターがその生態をじっくり聞いてみました。
監修者プロフィール
- 瀬尾一樹(せお かずき)
- 樹木医/インタープリター/植物の調査をする人/ライター。植物ガイド、植物診断なども。著書に『やけに植物に詳しい僕の街のスキマ植物図鑑』。
「雑草は強い」は誤解だった?
今回は、夏や秋に花粉を飛ばす雑草「ブタクサ」と「オオアワガエリ」について伺いたいんです。でも、そもそも、雑草って何なのでしょう?
実は雑草について明確な定義はないんですよ。でも人から見たら、人の管理している場所や畑に生えてくる『役に立たない植物』ということができますね。
役に立たないって、そんなにはっきり…!
そうなんです。(笑)また、雑草を生き物として見ると、『破壊される場所や、かく乱(※)されている場所に生息する植物』と定義できます。人間が草刈りをしたり、踏んだりしたところのほか、土砂崩れや洪水など、定期的に植物が住めなくなる場所にいち早く生えてくるのが雑草です」
過酷な場所に生息するから、きっと強いんでしょうね。
実は雑草って、植物同士の競争には弱いんですよ。例えば植物がたくさん生えている森の中だと、光をさえぎられるので生きられません。でも更地ならライバルがいないので、いち早く芽生えて子孫を残せます。そのために、種が小さくて何キロも飛ぶものや、土の中に何年も眠っているものもあるんです。
生き延びるために、雑草も必死なんですね。
雑草は人の生活と密接な関係がある
瀬尾さんは雑草の魅力にとりつかれ、Twitterで情報発信をしたり本を書いたりしていらっしゃいますね。役に立たないのに、雑草や野生植物がそんなにお好きなのはなぜですか?
そもそも、高校で「シロツメクサは食べられる」と教わったことがきっかけなんです。だったら食べてみようと探しに行ったものの、並んで生えているカタバミと見分けがつかなったんですよ。
そんなに食べてみたかったんですか…?
いえいえ、そういうわけじゃなくて。(笑)学校の先生が開いてくれた観察会でシロツメクサは丸い葉でカタバミはハート型だと教わるうちに、どんどん楽しくなっていったんです。
そうなんですか。素敵なきっかけですね!子どもにも教えてあげたいです。
シロツメクサは丸い葉。クローバーという名前の方が有名。
カタバミ。シロツメクサに似ているが、葉がハート形。
それに、雑草は人の生活と密接な関係があるところが魅力なんですよね。たとえば農作物の邪魔をしたり、人の移動にくっついてきたり。そうやって世界中からたどり着いた植物が、都会に生息しているところが興味深いと思いませんか!
は、はい。
実は場所によって生える野生植物は決まっています。山のふもとに多い植物や、水辺に生える植物など、それぞれに特技や特色があるんですよ。
その植物愛をつぶやくTwitterで「#オラ草が知りてぇ」のハッシュタグが話題となり、開始1ヶ月で9万人ほどのフォロワー数になったんですね!
夏と秋に花粉を飛ばす2大雑草とは
そんな雑草から、夏や秋にも花粉が飛んでいるって、本当ですか?
はい、本当です!代表的なのはブタクサ。中でも、数が多いのはオオブタクサという種類です。河川敷に多く生えていて、8~10月くらいに花を咲かせ、花粉を飛散します。たった1年で全長3~5mほどまで大きくなるんですよ。
河川敷などに多く、1年で大きく成長するオオブタクサ。
さすが雑草!すぐに高く育って競争優位性を高めているんですね。
写真をよく見てください。一番高いところに20cmほどの細長い雄花のかたまりがあり、そこから花粉を飛ばします。そのすぐ下に雌花があります。雄花から花粉を風に乗せて飛ばして、雌花で飛んできた花粉を受け取るんです。
春に花粉を飛ばすスギも、風で花粉を飛ばしているんですね。
風で花粉を飛ばす植物は、うまく風に乗って花粉がめしべにたどり着かないと受粉できない「運まかせ」。受粉の確率を上げるために花粉の量が多いんですよ。鳥や虫に運んでもらうわけではないので、きれいな花を咲かせたり、いい香りを出したりする必要はありません。花びらが無かったり、色も緑色など目立たないものが多いのも特徴ですね。
とにかく風を受けて花粉を飛ばせるように、上の方に花粉を付けるという戦略なんですね…!
6~8月に花粉を飛ばすオオアワガエリもやっかいですね。イネ科の植物で、ぴんと立ったような穂の形をしています。
見た目はちょっとかわいらしい気もしますね。
もともと北海道で牧草として試験的に植えられていたものが野生化し、雑草として扱われるようになりました。高原などによく生えています。
穂の形に特徴のあるオオアワガエリ。
植物も逃げ出すんですね!
そうなんですよ。条件があえば花壇の花でも逃げ出します。ちなみにオオアワガエリも風で花粉を飛ばすため、花びらも香りもありません。
雑草にも推しポイントがある!
瀬尾さんは雑草の好きなところを「推しポイント」として紹介していらっしゃいますよね。オオブタクサとオオアワガエリの「推しポイント」も教えていただけますか?
オオブタクサは、寿命が1年しかないんです。だからこそ、1年で3~5mも育つのがすごいなと思いますね。
寿命はたったの1年なんですか!
オオアワガエリは穂の形がフランクフルトみたいでかわいいところがいいですね。高原などでよく見るので、その姿を見ると「自然が豊かなところに来たな~」と実感します。
瀬尾さんはブタクサについて許せないことがあるとか…?
そうなんです!「ブタクサ」で画像検索をすると、セイタカアワダチソウが出てくることが多いんです。河川敷に生えているからかもしれませんが…まったく似てないですから!
秋も、花粉を無力化できる「アレリア」でおうちケア
たくましい雑草の生態を聞いて驚きましたね。ブタクサやオオアワガエリの花粉は、風に乗って私たちの身の回りにも飛んできます。また空気や人の移動によって、室内にもたまっていきます。
そんな時のおうちケアは、花粉を無力化できる「アレリアシールドミスト」で。カーペットや寝具、布製ソファー、ぬいぐるみなどの布製品にスプレーするだけで、花粉を包み込んで無力化し、その舞い上がりを防止します。
「アレリアシールドミスト」はスギ花粉やヒノキ花粉だけでなく、ブタクサ花粉やオオアワガエリ花粉に対しても無力化効果があります。
「アレリアシールドミスト」を使って、秋も効果的なアレル物質対策を続けていきたいですね。
※ かき乱すこと。
秋も毎日続けられる、花粉対策に
無力化+舞い上がり防止で、残留ハウスダストを抑制します。