「これって、どうなの?」「こんな時、どうすれば?」暮らしの中で、お口やカラダにまつわるモヤモヤやお悩みはありませんか?今回は会員の方から届いた「子どものマスク生活と口臭」にまつわる疑問を専門家に答えてもらいました。
監修者プロフィール
ウイルスや花粉などから身を守ってくれるマスクですが、長く装着していると思わぬ悩みや困り事を引き起こす場合もありますよね。クラブサンスターの会員の方からは、こんな質問が届いています。
■マスク生活で、子どもたちは、登校から下校までずっと着け続けていて、交換用も何枚も持っていっています。マスクの中のにおいが気になるようで、ずっと臭いといってきます。中学、高校の子は口臭防止の飴やタブレットを上手くとっていますが、小学生でもできる何かいい方法はありますか。(えいたかまるさん)
■私は、小児歯科専門医ですが、最近、親御さんたちから「子どもの口臭が、気になります」という質問や悩みをよく聞きます。原因は、口呼吸だと思いますが…。口呼吸や口臭ケアをテーマに希望します。(ユーミン大好きdentistさん)
早速、気になるマスク生活と子どもの口臭について、サンスター千里歯科診療所 小児歯科専門医 宮本先生に、教えていただきましょう。
Q.そもそも、なぜ、マスクをすると口臭が気になるのでしょう。原因は何ですか。
宮本先生「実は、マスクを着けて生活するようになったのは最近のことで、マスクと口臭の関係について、学術的にはまだ十分に分かっていません。ただし、マスクをすると口呼吸になりやすいことが専門家から報告されています。マスクによって口臭に気づきやすくなった側面もあるかもしれませんし、口呼吸によって口臭が起きている可能性もあるでしょう。また、子どもは汗をかきやすくカラダを動かす機会も多いため、マスクに付着した汗が臭いにつながっているとも考えられます」
Q.口呼吸が口臭を引き起こすのは、なぜですか。
宮本先生「口呼吸をするとお口の中が乾燥して唾液が減り、臭いの原因である菌が増殖しやすくなるためです。口呼吸は口臭以外にもリスクがあり、むし歯や歯周病や歯肉炎など口内環境の悪化につながるだけでなく、インフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなるといわれています。また、口が開いていると、通常、上あごについている舌の位置が下がり(低位舌)、歯を押して歯並びに影響が出るとの指摘もあります」
Q.口呼吸を対策する方法はありますか。
宮本先生「マスク着用の有無を問わず、そもそも姿勢が悪いと口が開きやすくなります。姿勢が悪くなると鼻呼吸をしにくくなるため、普段、座っている時や、食事などの姿勢を意識することが重要です。子どもの口呼吸に気づいたら鼻呼吸をするよう声をかけてください。もし、鼻炎などの疾患があり鼻呼吸が難しい場合には、医師に相談するようにしましょう」
Q.子どもの口臭に関しては、どんなケアの方法がありますか。
宮本先生「口臭の8~9割はお口に原因があるといわれています。歯周プラーク(歯垢)を取り除くこと一番の口臭予防です。まずは、お口の中に食べ物のカスや汚れが残らないよう、歯みがきの習慣を身につけましょう。歯をしっかりみがくには、大前提として、子どもにあったハブラシを使えているかどうかがポイントです。適切なサイズのハブラシを選び、小さいお子さんの場合には、仕上げみがきをしてあげましょう。その際、デンタルフロスを使うのもおすすめです。また、口内環境は親子で関連することが示唆されており、親御さん自身も口内環境をキレイに保つことも大切です。
マスクをしている時は、水分補給を怠りがちになります。お口の乾燥を防ぐためにも、こまめな水分補給を心掛けてください。先ほどお伝えしたように、口呼吸は口臭のリスクにつながりますから、鼻呼吸を意識しましょう」
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Q.「舌みがき」は子どもの口臭にも、有効でしょうか。
宮本先生「舌苔がある大人には口臭予防として舌ブラシが有効ですが、子どもは舌が柔らかく傷つけることもあるためおすすめしません。先ほどお話したとおり、お口の中のプラークを歯みがきで取り除くことを意識的にケアしてください」
Q.学校など、歯をみがくのが難しい日中の対策も教えてください。
宮本先生「まずはマスクの下でも口を閉じて鼻で呼吸すること、また、こまめな水分補給を心掛けるよう伝えましょう。歯みがきができない場合は、口をゆすぐことで代替できます。マスクも半日に1度などこまめに交換するとよいでしょう」
取材・清水美奈