会員さんからお悩み質問BOXに寄せられた質問にお答えします。
今回は多くのみなさんから寄せられた「知覚過敏」に関して、編集部がピックアップしたご質問をサンスター財団の歯科衛生士鷲巣(わしず)さんにお答えいただきました。
プロフィール
「歯ぐきが下がってきて、歯みがきするとしみることがあります。歯みがきの力が強いからなるのですか?何か緩和方法ありますか?」(40代・女性)
歯ぐきが下がってきて歯にしみるとのこと、ご質問ありがとうございます。
まず下のイラストをご覧ください。
本来歯は、エナメル質、象牙質、神経(歯髄)の3層構造になっており、エナメル質が刺激から守ってくれています。しかし、歯ぐき下がりによって歯の根元が露出し象牙質がむき出しになると、ちょっとした温度変化やブラッシングの刺激などで歯がしみるようになります。
ではなぜ歯ぐき下がりがおきてしまうのか。おっしゃる通り、「歯みがきの強さ」も原因のひとつです。ほかにもみがく回数が多すぎてしまう、歯ぎしりなどで強い刺激が与え続けられる、加齢などがあげられます。質問者さまはどれくらいの強さでみがかれているでしょうか。もしハブラシの毛先がしなって広がる程であれば要注意です!
最適なブラッシング圧は150g~200g。これはハブラシを歯に当てた時、毛先が広がらない程度の力です。みがくというよりも歯肉のマッサージをする感覚でやさしく、小さく小刻みに動かすようにぜひ意識してみてください。
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【会員さんの疑問にお答え】歯みがきのブラッシング圧。どのくらいが適正?
しかし、歯ぐき下がりに最も影響するのは「歯みがきの強さ」ではありません。一番の原因は、「歯周病」です。歯周病菌により歯ぐきが炎症を起こし、さらに歯を支えている骨(歯槽骨)にまで炎症が及ぶと、歯周組織の破壊が進みます。これによって歯ぐきが下がることがあります。歯周病はあまり自覚がなく進行し、気が付くと歯ぐき下がりや最悪の場合は歯が抜けることにも繋がりますのでぜひ注意して対策して頂きたいです。
まずは適切なブラッシング圧でやさしく歯をみがくこと、歯周病や知覚過敏対策のハミガキを使用すること、そしてできれば歯科医院へ受診されることもおすすめします。
「知覚過敏用のハミガキのほかに、知覚過敏で困っている時にできることを教えてください」(60代・女性)
ハミガキ以外の方法ですね。
今回は一例として「酸性食品」とのつきあい方についてご紹介したいと思います。
知覚過敏は前述の通り、歯の象牙質が露出する事によって起きますが、その原因は歯ぐきが下がる「歯肉退縮」と「エナメル質の喪失」があります。エナメル質喪失の原因のひとつが「酸性食品」です。知覚過敏を加速させないためにはこの「酸性食品」の摂り方にも気を付ける必要があります。
歯のエナメル質はpH値が5.5以下の酸に弱いということが知られており、レモンなどの柑橘類、りんご、酢、ヨーグルトなどがこの分類にあてはまる食品です。(お口の中はpH7.0前後)。
そして酸っぱい物だけでなく、以下の物にも注意が必要です。
いずれも糖分を加えているため、酸の強さには気づきにくい食品です。
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保存版【取り過ぎ注意 酸性の食品一覧表】を見ながら酸蝕歯対策
歯に良くないとはいえ、これらの飲食はなかなか避けられないと思いますので、酸性食品を摂る時は、酸に歯が長時間さらされないように、水やお茶を飲んで流す、あるいは水でうがいをするなどして、気をつけるようにしてください。
また、こちらで食べ方のヒントをご紹介していますので、ぜひご覧ください。
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知覚過敏を悪化させずに、好きなものを食べたい時の4つのヒントとは
冷たい物や熱い物など温度刺激を避ける方法もありますが、特に熱いものが歯にしみる場合は症状が進んでいる可能性が高いので、なるべく早く歯科医院に相談することをおすすめします。
「知覚過敏の薬を歯に塗っておきましょうと歯医者の治療がありましたがこれって治療ですか?まやかしですか?」(60代・男性)
歯科医院での知覚過敏の治療について、ご心配があるのですね。歯に塗り薬を塗るのは一般的な治療のひとつですのでご安心ください。歯科医院での知覚過敏の治療には、下記の方法があげられます。
①知覚過敏用の塗り薬による治療法
知覚過敏と診断された場合に、歯に塗布する薬があります。痛みの原因となる象牙細管を狭窄・封鎖する目的のものや、歯をコーティングするものもあります。
②そのほかの治療法
ボンディング剤による知覚過敏部位の保護、コンポジットレジンによる保護などがあります。原因が咬合力やパワーブラッシングも考えられる時は、それに対して指導をします。
歯がしみる原因はむし歯や歯周病、知覚過敏などが考えられ、自己診断は難しいので、質問者様のように歯科医院で一度ご相談されることをおすすめします。
お悩みを投稿いただいたみなさん、貴重なご意見ありがとうございました!引き続き、「お口のお悩み 質問ボックス」へのご投稿をお待ちしております。
取材・記事 クラブサンスター編集部