秋冬を代表する食材のひとつ「さつまいも」。ほくほくとした食感と優しい甘さで人気ですが、栄養価にも優れた食材なんです。食物繊維が豊富なので整腸作用があって、腸活にピッタリ!さらにビタミンCも豊富で、美肌にも嬉しい食材なのです。今回は人気のフードコーディネーターである平岡淳子さんに、そんなさつまいもを使った腸活&美肌レシピを教えてもらいました。
監修者プロフィール
さつまいもは9月ごろから収穫されますが、旬を迎えるのは少し寝かせた10月~翌1月ごろ。まさに秋冬が旬の食材です。
毎年秋頃になるとスーパーなどに多く並ぶことから、「旬の食材」というイメージでなんとなく食べている人も多いかと思いますが、実はカラダに嬉しいさまざまな栄養素が多く含まれているんです!主な栄養素をご紹介します。
●食物繊維
さつまいもは便秘対策になる、と言われるのは、食物繊維が豊富に含まれているから。食物繊維には「水溶性食物繊維(水に溶けるもの)」と「不溶性食物繊維(水に溶けないもの)」の2種類がありますが、さつまいもには両方とも含まれています。そのため、便通を整えるのに効果的で「腸活」によい食材なのです。
●ヤラピン
さつまいもを切ったとき、断面からにじむ白い液体に含まれる栄養素。耳慣れない栄養素ですが、腸のはたらきをよくして、便をやわらかくするのに効果的です。皮のそばに多く含まれているので、腸活のためには皮ごといただくのがおすすめ!
●ビタミンC
さつまいもには、美肌に嬉しい栄養素のビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは熱に弱いのですが、さつまいもに含まれるでん粉質がビタミンCを保護するため、加熱しても壊れにくいという性質を持っています。
●ビタミンE
別名「若返りのビタミン」とも呼ばれるビタミンE。強い抗酸化力を持ち、体内の脂質が酸化するのを防ぐはたらきがあるため、若々しい肌を保つために最適な栄養素です。
なお、「甘い」イメージの強いさつまいもですが、「低GI食品」といって、血糖値が上がりにくく脂肪に変わりにくい性質を持っています。そのため、実はダイエット向きの食材でもあります。また、さつまいもの皮にはアントシアニンというポリフェノールの一種が含まれており、抗酸化作用にも優れています。美肌効果を高めるには、ぜひ皮ごといただきましょう!
一口に「さつまいも」と言っても、その種類はさまざま。今回、レシピを教えてくれたフードコーディネーターの平岡淳子さんに、複数のさつまいもを食べ比べしてもらいました!購入する際の参考にしてみてください。
左下から時計回り「里むすめ(なると金時の一種)」「なると金時」「シルクスイート」「紅あずま」「紫いも」
なると金時、里むすめ
食感…ほくほく、ねっとりの絶妙なバランス
味…コクのある味わいに上品な甘み。比較的すっきり
おすすめ料理…料理はもちろん、和菓子のあんなど、お菓子にも
シルクスイート
食感…絹のような、しっとりとなめらかな舌触り
味…上品な味わい
おすすめ料理…焼き芋や蒸し芋、干し芋でシンプルに蒸してバターをのせるのも◯
食感がなめらかなので、サラダやスイートポテトにも
紅あずま
食感…昔ながらの、ほくほく食感
味…優しい甘さとコク
おすすめ料理…シンプルな焼き芋がピッタリ
煮物や天ぷら、お味噌汁などのおかず系にも
紫いも
食感…適度なほくほく感
味…あっさりした甘み
おすすめ料理…お弁当のおかずなど、彩りを加えたいときに
なお、今回入手できたのは上記ですが、水気を多く含んだ“ねっとり系”のさつまいもである「安納いも」や「紅はるか」も人気の品種です。
ここからは平岡さんに考案してもらった、さつまいもの腸活&美肌レシピを3つご紹介します。なお、料理の難易度は「初心者~中級向け」、「すべて20分以内でできるもの」、「食材はスーパーで購入できるもの」で考案してもらいました!
●さつまいもと鶏肉のマーマレード煮
<材料(2人分)>
さつまいも(大)…1本(約350g)
鶏もも肉…1枚
いんげん…6本
サラダ油…小さじ1
★A(砂糖…大さじ3、和風だし…1カップ、塩…少々)
★B(みりん…大さじ2、マーマレードジャム…大さじ3、しょうゆ…大さじ1)
<作り方>
1 さつまいもを乱切りにし、5分ほど水にさらしてからザルにあげておく。鶏肉は8等分に切る。いんげんは筋を取り、4等分の長さに切って塩ゆでしておく。
2 鍋にサラダ油を熱し、1のさつまいもを加えて、透明感が出るまで炒める。
3 2の鍋に鶏肉とAを加えてさっと混ぜ、沸騰したら弱火で蓋をして、さつまいもに竹串がすっと刺さるくらいの柔らかさになるまで煮込む。
4 3にBを加えて、煮汁にとろみが出るまで煮詰める。最後に1のいんげんを加えて、さっと混ぜたら完成!
●さつまいもと煮りんごのサラダ
<材料(2人分)>
さつまいも(小)…1本(約300g)
煮りんご(※材料は下記)…全量
ドライプルーン…2個
★A(クリームチーズ…100g、ヨーグルト…大さじ1、ミント(小ぶりな葉)…6枚)
※煮りんごの材料
りんご(紅玉など)…1個
レモン汁…大さじ1
砂糖…大さじ2
<作り方>
1 煮りんごを作る。りんごの皮をむいたら、皮を少し取っておく。種と芯を取り除いてから一口大に切って、取っておいた皮と一緒に耐熱ボウルに入れる(皮を加えることで色と香りがしっかり出ます)。ボウルにレモン汁と砂糖を入れたら全体にまぶし、15分ほど置く。ふんわりとラップをかけて600Wの電子レンジに4分かけ、冷ましておく。
2 さつまいもを1.5cmほどの角切りにしたら、5分ほど水にさらしてから鍋に入れ、竹串がすっと刺さるくらいの柔らかさになるまで茹でる。茹で終わったらざるにあげ、冷ましておく。
3 クリームチーズを電子レンジで20秒ほど温め、柔らかくする。Aをボウルに入れて混ぜる。
4 3に1の煮りんご(皮は取り除く)、2のさつまいも、5mm角に切ったドライプルーンを入れて混ぜる。器に盛ったらミントを添えて完成!
●さつま汁
<材料(2人分)>
さつまいも(小)…1本(約170g)
豚バラ薄切り…3枚
ごぼう…1/3本
まいたけ…1/2パック(約50g)
長ネギ…1/3本
酒…大さじ1
味噌…大さじ2
★A(和風だし…2カップ、酒…小さじ1)
<作り方>
1 さつまいもは8mmほどの輪切りにし、水に5分ほどさらしてからザルにあげておく。ごぼうはささがきにし、酢水(分量外:水600ccに大さじ1の酢を加えたもの)に5分ほどさらし、ザルにあげる。まいたけは食べやすくほぐしておく。長ネギは薄い輪切りにし、水に5分ほどさらしてから水けを切る。豚肉は3cm幅に切る。
2 小鍋にAを入れ、1のさつまいもを入れて火にかける。沸騰したら弱めの中火にし、竹串がすっと刺さるくらいの柔らかさになるまで火を通す。
3 2の鍋に1のごぼうと豚肉、まいたけ、酒を加えて中火にかける。豚肉の色が変わって、ごぼうとまいたけに火が通ったら、火を止めて味噌を溶く。
4 器に盛り、1の長ネギを添えたら完成!
さつまいもでおいしくきれいに
腸とお肌に嬉しい食材のさつまいも。料理するときは相乗効果を狙って、組み合わせる食材選びにもこだわってみると、さらに腸活&美肌作りが進むかもしれません!
取材・文/富永明子(サーズデイ)
撮影/三橋優美子