夏の暑さが和らぎ、涼しい日が増える秋のはじまり。「なんだか倦怠感を感じる」「やる気が出ない…」など、季節の変わり目に起こりやすいといわれている体調不良は「自律神経の乱れ」が原因かもしれません。そこで今回は健やかな秋を迎えるために、自宅で簡単にできる、自律神経を整えるためのケア方法をご紹介します。
季節の変わり目に起こりやすい体の不調。暑い夏から徐々に気温が下がる秋口は、気温や日照時間、そして気圧などさまざまな環境の変化が起こり、体が順応しきれなくなるといわれています。
この不調の原因と言われているのが「自律神経の乱れ」です。
自律神経とは、消化器や循環器などの体の機能を調整する神経のことで、種類は大きく2つ。それぞれ「交感神経」と「副交感神経」と呼ばれています。
「交感神経」は主に日中に活発に動き、体をアクティブに動かす役目。そして「副交感神経」は主に夜にはたらき、体をリラックスさせる役目を担っています。
季節の変わり目に起こる不調は、この「交感神経」と「副交感神経」がバランスを崩し、うまく動かなかったり切り替わらなかったりするために起こるといわれています。
自律神経の乱れから起きる症状はさまざまありますが、もっとも顕著だといわれているのが「倦怠感」です。休んでも疲れが取れなかったり、なぜだかやる気が起きなかったりなどの症状があらわれます。そのほかにも頭痛や胃もたれ、首や肩の凝り、情緒の乱れなどが起こることも。これらが続くと心身共に疲れてしまうので、できるだけケアしていきたいところです。
自律神経の乱れを防ぐには、交感神経と副交感神経をスムーズに切り替える必要があります。そこで、ここからはお家でできるおすすめのセルフケアを5つご紹介します。
1.睡眠の質を保つために、生活リズムを守る
自律神経を整えるために一番大切なのは「質の良い睡眠」といわれています。朝起きた時にだるさや疲れが抜けて、すっきり起きられるような睡眠をとるために、意識したいポイントは以下の3つです。
①できる限り起床時間を揃え、規則正しい生活を心がける
②日中に陽の光を浴びる
③寝る2時間前にはスマホをオフにする
起床や睡眠の時間がずれると体のリズムが狂い、さらに自律神経が乱れるという悪循環を起こしてしまいます。そのため、できる限り規則正しい生活を送りましょう。うまく寝付けなかった場合は、起床時間で調整を取るとよいでしょう。交感神経は光を浴びることで活発になるため、朝起きてしっかり陽の光を浴びると体のリズムが整います。
また、陽の光を浴びると「幸せホルモン」と呼ばれているセロトニンが分泌されます。この物質は気分を明るくポジティブにしてくれるのと同時に、夜は眠りを誘うホルモンであるメラトニンという物質の材料になります。セロトニンが分泌されてからメラトニンになるには12時間必要といわれているため、朝早く起きて活動した方が、これら2つのホルモンの分泌がスムーズになります。
とはいえ無理は禁物。不眠状態が一番体に良くありません。眠れていないから朝起きるのがしんどいという方は、体の様子を見つつ、できる範囲で起床時間を調整しましょう。
そして、眠る時間の2時間前にはスマートフォンの電源をオフにすることもおすすめです。強い光を浴びると交感神経が優位になり、寝付きをわるくしてしまいます。また、できれば枕元にスマートフォンを置くことも控えると良いでしょう。メールの着信などで気が散ってしまい、眠りを妨げてしまうためです。
睡眠は眠りはじめの90分が重要といわれています。この90分の間に細胞の修復などを行う成長ホルモンが分泌され、体の疲れをとったりストレスを緩和したりしてくれるのです。ですが気が散った状態では、体が眠りに集中することができません。翌朝の疲労感の軽減のためにもできる範囲で取り入れてみましょう。
2.胃腸に負担をかけない食事を心がける
自律神経が乱れて体が緊張状態になると胃腸がうまく動かなくなることがあり、消化不良や吐き気に繋がります。そのため不調を感じる場合は、胃腸に負担をかけない食事を心がけると良いでしょう。
胃腸は自律神経を司っている脳に深い関係のある器官。日頃から胃腸を整えることで脳にも良い影響を及ぼし、自律神経の乱れの予防にもつながるのです。
胃腸を整えるためには、発酵食品の摂取がおすすめです。ヨーグルト・バナナ・納豆・キムチ・味噌汁などを一日一食摂ることで、胃腸が整います。逆にカフェインを含む飲料やアルコールは刺激物のため、胃腸に負担がかかります。日頃から適度な量を心がけつつ、また胃腸が不調の時は摂取を控えるようにしましょう。
また、内臓を冷やすと機能が低下してしまうため、寒い日は腹巻をしたりホッカイロを使用したりするなど、お腹を温めるのもおすすめです。
3.散歩やジョギングなど、軽く汗をかく運動を取り入れる
いつもの脈拍よりも少し高くなる、少し汗をかくくらいの運動をすると、交換神経がはたらきやすくなります。
運動といっても、激しいエクササイズをする必要はありません。おすすめはウォーキングやジョギングなど、全身に酸素を送れる有酸素運動。ウォーキングの場合は少し早めのスピードで20分~30分ぐらい行うのがおすすめです。
前述の通り、陽の光を浴びることで幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が分泌されるため、運動は明るい日中に行うとさらに効果的です。
4.アロマを使って脳をリラックスさせる
嗅覚を刺激する香りは、自律神経を司っている脳に直接影響を及ぼし、自律神経の乱れにもさまざまな効果が期待できるといわれています。そのため不調を感じたらアロマテラピーなど香りの力を使うのもおすすめです。
例えば朝や日中に使う場合は、交感神経を活発にする効果のある、「グレープフルーツ」「レモン」、「オレンジ」などの柑橘系の香りを使うと良いでしょう。その他「ローズマリー」も交感神経を優位にしてくれるといわれています。
また夜のリラックスタイムには、副交感神経を優位にしてくれる「ラベンダー」や「サンダルウッド」「フランキンセンス」などを使ってみてはいかがでしょうか。
お出かけ先であれば精油をハンカチやティッシュに垂らして香りを楽しみ、お家であれば寝室にアロマディフューザーを置くなど、自分に合ったやり方でぜひアロマの力を活用してみてください。
5.質の良い睡眠のために、ぬるめの湯船につかる
自律神経を整えるためには「良い睡眠」が有効とお伝えしましたが、お風呂の入り方を工夫することでも、良い睡眠に繋がります。
具体的な方法は、まずシャワーで済まさず入浴をすること。これにより体が芯まで温まり、深部体温が上がります。すると、お風呂を上がってから徐々に深部体温が下がるのです。深部体温の下降とともに、交感神経から副交感神経に切り替わり、副交感神経が優位になると、体がリラックスした状態になるため、スムーズに眠りにつくことができるのです。
お風呂の温度は、交感神経にスイッチが入らない37~39度のぬるめがおすすめです。また、食事は交感神経を刺激してしまうため、できれば入浴の前にとりましょう。
季節の狭間におすすめの、自律神経のケア方法をご紹介しました。秋は気持ちの良い季節ではありますが、体はうまく環境の変化についていけていないかもしれません。倦怠感や胃腸などに不調を感じたら、ぜひご紹介したケア方法を試してみてください。
監修者プロフィール
取材・文/MEGUMI SAITO